「都市」と「近くの農業・農村」を結ぶ柏たなか農園のブログ

投稿日:2013年3月25日 3:15 pm


このところ気温の高い日が多かったため畑の作物の成長が早いです。柏たなか農園の主力作物であるもち麦もここにきて急速に伸び、すでに缶コーヒーの3-4倍くらいの背丈になりました。去年の今頃はようやく缶コーヒーの高さを超すくらいでしたから、本当に様変わりです。

今日はまた冬に戻ったように寒く感じられますが、3月トータルでは平均気温は平年と比べ高くなりそうです。では4月、5月はどうなって行くのか気になります。平均として気温が高く推移すればもち麦の収穫も早まります。当初は5月の最終週から麦刈りを始めるつもりでしたがその前の週でも可能かもしれないと思い始めています。

今年のもち麦を予約してくれた「麦畑オーナー」の皆さんを麦刈り体験にご招待することにしていますが、日程はもち麦の生育状況を見ながら決めることにしています。その日程をいつにするかが、これからのお天気、気温と関係してくるのです。

それと今年の3月でラッキーだったのは土の学校の講習会の日が比較的天気に恵まれたことでした。3月は雨降りの日が多く、強風も吹きます。雨が降れば畑の作業ができません。強風が吹いても作業ができません。先週末の土日は第2回の土の学校講習会で、春野菜の種を播きました。二十日ダイコン、ホウレンソウ、コマツナ、ミズナ、シュンギク、ニンジンの種を畝の上に付けた浅い溝に、種と種がかさならないように播きました。これらの作業で一番心配なのが風です。少し強い風に吹かれると播こうとした種が飛ばされてしまいます。今年は幸い、講習会の日に種を吹き飛ばすほどの強い風が吹かなかったので助かりました。

種まきのあと水をまき、畝全体を不織布で覆いました。種まきした畝を風や害虫から守るためです。さらに不織布の外側をビニールのトンネルで覆い、畝を保温しようと計画していましたが、ビニールのトンネルはやめました。この後も気温が高めに推移すると予測したからです。10日ほど前に露地に播いた二十日ダイコン、カブ、ホウレンソウの種が、不織布もかけなかったにもかかわらずざっくりと発芽したので、もう大丈夫だろうと考えたのです。

カテゴリー: 生育情報 土の学校

投稿日:2013年3月10日 10:54 pm


2013年度の柏たなか農園・土の学校は3月9、10日にスタートしました。例年にない暑さに見舞われ汗だくの中で第1回講習会の課題に取り組みました。毎年3月は強風や雨の日が多く、土の学校も悪天候にたたられ続けてきました。今年は大丈夫かと思っていましたが、やはり10日の昼過ぎから風が強まり、午後まで作業が残ったらかなり苦戦するところでした。

9、10日に開催した第1回講習会の課題はまず畝立てでした。一つの区画約30㎡の中に長さ約3m×70cmの畝を7本作ります。まず畝の位置を決め、畝と畝の間(畝間)の高低差が約10cmになるように畝間の土を畝に移します。これがかなりの重労働です。畝間から畝へ、区画の面積の約半分の土を移動させることになります。使う道具はクワですが、使い方に慣れていない人はなかなか進まず、去年までは午後の遅い時間までかかる人もいました。

毎年のことなので、今年は予め畝間に当たる部分にトラクターで溝を掘っておきました。こうすれば畝間の土を畝に移す作業の効率は格段に良くなり、講習会の初日にエネルギーを使い果たすこともなくなります。実際、去年までと比べて畝立ての作業時間は劇的に短縮され、まったく初めての人でも一人で1時間あれば何とかこなせたようです。特に10日は昼過ぎから強風に変わったので、作業時間が午後にかかると大変なことになりそうでしたが、11時ごろから始めて正午にはほぼ全員、畝立ての作業を終えることができました。

3月に予想される悪天候を避けるため、去年はスタートを3月下旬にしたのですが、スタートを遅らせた分、後の作業が後手に回りこれはこれで大変でした。春の1日は秋の3日ともいわれます。春は1日作業が遅れると秋の3日分の遅れに相当してしまうということです。ですので、やはり3月は天候が心配でも月の前半にはスタートさせないと後が苦しくなります。
10日の夕方からは冬に逆戻りです。3月下旬に開催する次の講習会の日はどのような天気になるのかまったく予想がつきませんが、種まきの後、ビニールトンネルをかけるなど、まだまだ防寒対策は必要でしょう。

投稿日:2013年2月3日 12:23 pm

小さいながらもビニールハウス、家の庭に建ててしまいました。ちょっと風が吹いたら飛んで行ったり、壊れてしまったりではまずいですから、ある程度頑丈でなければなりません。近くのホームセンターで組み立てキットのようなものを安く売っていたので飛びついてしまいました。

間口1間、奥行き1間半と小さなビニールハウスですが、それでも一人で組み立てるのは無理。先週、農園の仕事をいろいろ手伝ってくれている松本岳士さんに来てもらって、2人がかりで何とか組み上げました。

いざ組みたてるとなると大変です。まず、取扱説明書がものすごく分かりづらく、しかも不完全。その上写真は全て、カラーを白黒でコピーしたもので、まったく載せている意味がありません。想像力を働かせて、何とか取説を判読しました。作業者はやはり2人以上いないと組みたてられません。一人がハウスのパイプを押さえてやらないと別の部材をつなぎとめることができないといったことが起きるからです。朝から夕方までかけて何とか組み上げました。

骨組の外側を覆うビニールは、昨日まで2日間かけて一人で貼りました。ハウス本体は一応完成ですが、ハウスの中の温床や棚などはこれからです。

ところで、なんで家の庭にハウスを建てなければならないか疑問を持たれるでしょう。目的は野菜苗を育てるためです。いつもこのブログで紹介しているように、農場には土の学校の講習会に使うビニールハウスがあり、その隣にはもう一回り小さなのが建っています。ところが、農場には電気が来ていないので冬の朝はビニールハウスの中がマイナス5℃前後に下がってしまい、その中で野菜の種から芽を出させて苗を育てることはできません。

植え付け時期まで待って、ホームセンターなどで苗を買ってくれば済むかもしれませんが、売っている苗は品種が限られ、自分の判断で選ぶことができません。「苗半作」という言葉があるようにしっかりした苗を育てることが野菜作りの基本です。そんな大事な作業を人任せにはしたくないということもあります。

カテゴリー: 農業資材

投稿日:2013年1月15日 6:21 pm

新年の最初の仕事は「発酵肥料」です。はじめに油かす、落葉、ヌカなどの素材を合わせた混合物の中にこうじ菌をバラ播き発酵を始めます。発酵すると温度が上昇するので、その都度「切り返し」といって温度の高い部分と低い部分を入れ換えてさらに発酵を進めます。この過程でこうじ菌の他に納豆菌、酵母菌、乳酸菌と多種多様なバクテリアが繁殖し、これらの胞子を大量に含むものが出来上がります。

肥料というより多種多様なバクテリアの胞子を大量に含む混合物といった方が適切かもしれません。「肥料」という言葉を使うと「肥料取締法」の規制対象になってしまうからです。元はといえば、昔働いていた会社の先輩から教えられて作り方を書いた本を購入し、説明を見ながら毎冬作ってきたものです。

先週、素材となる油かすなど200kg近くをビニールハウスの中に積み上げその上にワラを載せ、ムシロで覆い、温度計を立てておきました。1週間近くたち温度計の表示は50℃超まで来ました。昨日の大雪で畑も一面真っ白ですが、発酵肥料のおかげでビニールハウスの中はぽかぽかです。暖かいビニールハウスの中で何回か切り返しをします。全体の重量が200kgとかなりあるので汗だくの重労働です。約1カ月後に出来上がるはずです。

こうして作った発酵肥料はどのような効果があるのでしょうか?多種多様なバクテリアがバランスよく含まれる土壌というのは、特定のバクテリアなどが大繁殖するのを抑制し、植物の根が元気に活動するための環境作りに貢献すると期待できると考えています。といいながら、この話は何となく歯切れが悪いのです。ここのところは科学的な根拠が示されているとはいえないからです。

これまでも農業に革命をもたらすであろう“魔法の薬”が次々と世に送り出されました。「これを振りかけると収量が激増する」、「これを土に混ぜると食物体が見違えるような成長をする」などなど、農家向けの専門誌などにも宣伝が載っていたりします。ただ、その多くが植物体のどの機能にどのように作用するからこのような結果になるといった科学的な根拠が示されないまま、効能だけをアピールしているように見えます。微生物の世界というのはいまなお科学的にとらえるのが難しく、多種多様な“魔法の薬”が出てきても本物かどうか判断できないのです。「見えるものだけを信じてはいけない」ということもあるでしょう。発酵肥料の話をする時の歯切れの悪さもここら辺から来ているのです。

投稿日:2012年12月25日 10:32 pm

この冬初めての「柏キムチ」を漬け込みました。これはキムチの元になる乳酸菌HS-1と柏たなか農園のある千葉県柏市で採れた身近な素材を使って、誰でも作れるようにした超簡単キムチのことで、「柏キムチ」とよぶことにしました。

「漬物の素を振りかけるだけ」というほど超簡単ではありませんが、ほとんど失敗なしでそこそこのキムチができます。作り方はまず、ハクサイと乳酸菌HS-110001の割合で混ぜハクサイのHS-1漬けを作ります。気温が10℃前後なら漬け始めから2日くらいで酸性度が4.5くらいになり、一応できあがりです。これとは別にダイコン、ニンジン、ネギ、ニラ、タマネギ、ニンニク、ショウガ、キムチトウガラシ、果物と海産物を混ぜ込んで味付けした具材(「ヤンニョム」と呼ぶ)を作っておきます。最後にハクサイのHS-1漬けにタレを混ぜ合わせれば漬け込みは終了、後は熟成を待ちます。今は一番寒い時期なので熟成に時間がかかりますが、それでも2週間もすれば適度に酸味のあるキムチが漬け上がるはずです。

「柏市でとれた素材を使うこと」を目標にしてはいますが、実際には柏市は海に面していないので海産物は採れませんし、そのほか野菜も季節的な要因でカバーしきれないものがあります。それでも柏地方の素材にこだわろうとするのは、キムチを漬けこんだり、食べたりする人たちに「地産地消」を意識してもらいたいと考えたからです。柏地方の食卓にはいつもキムチが出てきて、そのほとんどが地元野菜を使った自家製のキムチ――という時代が来てほしいとひそかに期待しています。

普及活動の一環として毎年「柏キムチ講習会」を開催しています。今シーズンは2013127日(日)と210日(日)の2回、柏たなか農園の農場のすぐ近くにある集会所・船戸会館で講習会を開催します。キムチを漬け込んだ後は参加者全員でキムチ鍋を味わいます。最後に主力の素材であるハクサイを柏たなか農園の農場で収穫してもらい、持ち帰ってもらいます。参加費は11000円――かなりお得なはずです。(トップページの「お知らせ」参照)

今年のハクサイのできはまずまずです。寒さが早く来たので秋冬野菜は途中から成長が鈍化しましたが、ハクサイはさすがに寒さに強い作物らしく、12月に入っても中がぎゅうぎゅうにつまるくらい堅く結球してくれました。

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