「都市」と「近くの農業・農村」を結ぶ柏たなか農園のブログ
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投稿日:2013年8月19日 4:00 pm
お盆休みの最後の日曜日、柏の葉キャンパス駅脇に立つ高層マンションの谷間にジャガイモ畑を作ってきました。野菜畑を作るので協力してほしいと頼まれて行ってみたら、土は住宅用の土で、カチカチに固まり、その上に雑草がたくましく根を下ろしています。そのままでは畑にならないので、この日の参加者(大人と子供合わせて約30人)全員で畑の土を掘り起こすことから始めました。わずか30㎡ほどのスペースでしたが、猛暑の中での作業なので、これだけで息が上がってしまう若いお父さんもいました。
ここからやっとジャガイモの植付けです。細長い畑に幅15cm、深さ15cmの溝を2本掘り、溝の底の部分に種イモを30cm間隔で置いていきます。イモとイモの間に有機肥料を小さい紙コップで1杯弱ずつ撒いて、溝に土を戻します。
土を戻してしまえば外から見えるのは土を耕しただけの更地です。これからジャガイモの芽が伸びて、葉を茂らせ、やがて土の下に新しいジャガイモができるはずです。とはいえ植え付けた種イモが順調に育つか心配です。種イモがこの暑さに耐えてくれるかどうか? 高層ビルの谷間に射し込む陽光だけで十分な光合成ができるのだろうか? 雨風などその他の気象条件は普通の畑とどう違うのだろうか? 全く肥料の入っていない土にわずかな元肥だけで足りるのだろうか?
11月にはこの畑のジャガイモを使ってカレーを作って楽しむ会を予定しているそうです。猛烈な暑さの中、頑張ってくれたお父さん、お母さん、子供たちの作業が報われ、おいしいジャガイモが収穫できるといいですね。
投稿日:2013年7月25日 10:51 pm
夏の畑はとにかく草取りに追われます。生産的な作業ではないし、炎天下の草取りを積極的にやろうという気にはなれません。そうかといって雑草を放置すればあっという間に畑は雑草で覆い尽くされ、作物は雑草の勢いに負けてしまうでしょう。やむを得ず夏の間ずーっと、汗だくになって雑草退治に取り組んでいます。
草取りの手段は、柏たなか農園の場合4つあります。一つはカマで草を1本1本刈り取って行く、いわば手作業。作物の間に生えた雑草を抜き取る時など狭い場所はこれを使うしかありません。次にガソリンエンジン付きの刈払い機を使って力任せに雑草をなぎ倒す、いわば物理的な手段。畝間の雑草が畑の作物を脅かしそうになった時など一気に刈り取ってしまいます。結構振動も大きく、1時間も作業をしていると手がしびれてきます。もう一つがトラクターで踏みつぶす。大がかりな物理的手段ですが、かなり深く耕運してもほとんどの雑草は生き返ってしまいます。
最後が除草剤散布です。ガソリンエンジン付きの噴霧器を使って雑草で覆われた畑の上から除草剤を撒きます。散布から数日で草は枯れ始め2~3週間で畑の色は黄色に変わります。化学的な手法で面積当たりの作業の負荷は一番少ないでしょう。ただし、全ての植物を無差別的に枯らしてしまうので、作物にかかると大変です。
すべて除草剤散布ですませられれば一番楽なのですが、実際には作物の間に雑草が入り込んでくるので、作物のすぐわきに生えている雑草はカマで手刈りです。作物から少し離れたところは刈払い機で刈り取り、さらに薬剤が作物にかかる恐れがないほど離れた場所に除草剤を散布するという使い分けをしなければなりません。
このところ猛暑が一休みしているので、その間せっせと草取りに励んでいます。やっとサツマイモの畑の草取りが終わったところです。サツマイモは5月末に植付け、このところ急速につるを伸ばしています。つるが伸びてきて雑草と絡まるようになると、刈払い機や除草剤による除草ができなくなります。といって広いサツマイモ畑の雑草をカマ1本で刈り取るのは無理です。ギリギリの段階で何とか刈払い機と除草剤による除草を間に合わせました。この先はサツマイモのつるがさらに伸びるので、刈払い機や除草剤散布ができなくなります。収穫まで約3ヵ月間、これから生えてくる雑草がサツマイモを脅かすようであればカマによる手刈りで対抗するしかありません。
サツマイモよりもっと広いスイカ畑ではスイカを植え付けた畝はビニールマルチで覆い、畝間はもち麦を収穫した後の麦ワラを敷きつめてその下から雑草が出てくるのを抑えようとしています。麦刈りの後、6月中ごろに植え付けたスイカはようやくつるを伸ばし、実も着き始めました。このタイミングで雑草もわずかな隙も見つけてワラの下、ビニールマルチのわずかな穴から這い出し、黄色のワラの上はいつの間にか雑草の緑で覆われようとしています。スイカのつるが伸び出した段階ではもはや畑全体を除草するのは無理なので、とりあえず背の高い雑草だけ手で抜き取りました。6月中ごろ植付けのスイカは8月後半から9月にかけて収穫です。それまで雑草に負けないようにスイカに頑張ってもらうしかありません。
投稿日:2013年7月15日 11:23 pm
東京の雑司ヶ谷というところで毎月開かれているという青空市に、柏地方の野菜農家といっしょに出店してみました。出し物はいつもの「もち麦の試食販売」。結構な人出があり750g入りの袋詰めのもち麦の売れ行きは順調でした。都会の青空市に農家が直接売りに来るという物珍しさもあったのでしょうか?大きすぎるので店頭のお飾り用にと思い、ついでに持って行ったスイカも思いがけず販売でき、かなりの手ごたえを感じました。他の野菜農家もエダマメ、トマト、キュウリなどがよく売れていました。
青空市の会場は雑司ヶ谷にある鬼子母神の参道で、この神様への参拝客などをメインターゲットにしています。ちょうど鬼子母神の境内で「手作り市」というイベントが開催されており、100を超す出店者が集まり大変なにぎわいでした。多分こちらのイベントの集客効果もあったのでしょう。昼を挟んで午後4時過ぎまでの開催時間内に、人の流れが続きました。
鬼子母神の参道での野菜販売は行きかう人たちにはおおむね好意的に受け止めてもらえたようで、柏地方の野菜をアピールする良い機会になった気がします。これまで柏たなか農園の近くにあるつくばエクスプレスの柏たなか、柏の葉キャンパス、流山おおたかの森の各駅前で開催される青空市に何度か出店してきましたが、大消費地で開催されるイベントに参加するのは今回が初めて。柏たなか農園がめざす「都市の住民との結びつき」をさらに広げる機会になるかもしれません。
普段柏地方のお店を見慣れている私にとっては、鬼子母神の参道や周りのお店は作りは派手でないのにとても個性的に見えました。昼食に入ったコーヒー店は、実は街の案内所のようなところで「コーヒー飲ませてくれるお店ありますか?」と聞いたところ「隣りにもあります」と言われて訪ねた店でした。言われるまでそこはただのしもた屋にしか見えませんでしたが、よく見ると店の前に小さい字でメニューが書かれた黒板が立ててありました。店の中は普通の家をリフォームしただけといった作りで、ゆっくりと落ち着いた時間を楽しめそうな空間になっています。
この街には一見、目立たないながらも個性的なお店が他にもありそうです。柏地方にはなかなか見られないお店があるのはなぜなのか?一つ考えられるのは、車を乗り回す街ではないということ。私が入ったコーヒー店もそうですが、ゆっくり散歩しながら、途中でひと休みといった気分です。都会というとあわただしく、せせこましいといったイメージで見ていましたが、建物は密集していても意外に静かな空間があるのだと、認識を新たにしました。
投稿日:2013年6月23日 9:56 pm
今日は土の学校でスイカ植付け講座を開催しました。あらかじめ元肥を入れた畝に20mずつビニールマルチを張り、2mおきに植え穴を開け、ポットで育てたスイカを植え付けていきます。トラクターで耕すなどの下準備はしたのですが、それでも長ーい畝にビニールを張る作業は大変です。苗を植付け、最後に麦刈り跡の麦ワラを畝のわきにびっしりと敷き詰めて本日の実習を終了しました。梅雨時のはっきりしない空模様の下、雨に降られなかったのが何よりでした。
これまで柏たなか農園のスイカは麦刈りの後に苗を植え付けていました。ところが、今年は5月半ばに第1期の植付けをしました。スイカの需要期は暑い盛りです。7月の後半には販売できるようにしたいところです。となると麦刈りの後では遅すぎるのです。というわけで5月に植え付けたのですが、そのかわり第1期のスイカは麦ワラなしでした。麦刈りの後に急きょ麦ワラを敷きましたが、すでにかなり成長してしまったのでどれほど効果があるかは分かりません。第1期のスイカはすでに実も肥大し始め、大きいもので運動靴くらいの大きさになりました。早くも実の表面にくちばしでつついた跡、爪でひっかいた傷跡がついています。カラスや動物たちが狙っているのです。防護策としてあわてて袋状のネットをかけました。
いま、実を着け始めたスイカは7月後半に収穫期になります。あちこちで夏祭りが開かれるタイミングに何とか間に合わせようとしています。今回、麦刈り跡に植えたスイカはさらに1ヵ月後の8月後半から9月にかけて収穫します。これまでは10月初めくらいまでは暑い日が続いたのでスイカも何とか売れました。暑い日が続けばスイカも甘くなります。今年の暑さはいつまで続くでしょうか?スイカ生産者としては暑さは歓迎です。お天気頼みのようなことばかり書いていますが、スイカの当たり外れはお天気次第のところがあります。
投稿日:2013年6月3日 5:15 pm
昨日6月2日に麦刈り体験ともち麦ごはん試食の会を開催しました。都会の人たちに稲刈りを体験してもらうイベントはよくありますが、麦刈りは珍しいでしょう。親子連れなど多数集まっていただき、刈り残しになっていた麦畑をきれいに刈り取ってもらいました。
麦刈りは普通コンバインという機械を使って刈り取りから脱穀まで一気にやってしまうのですが、それではつまらないのでこの日は鋸カマを使って人手で刈り取りをしてもらいました。刈り取り用に残しておいた畑は雑草が多いところだったので雑草取りといっしょになり、結構大変でした。刈り取った麦を束ねてコンバインで脱穀しました。この後、乾燥させ、ワラなどのゴミを取り除いて袋詰めしますが、イベントでは全部はできないので脱穀までにしました。
作業の後は2013年産新もち麦の試食です。もち麦と白米を1対4の割合で混ぜて炊いたもち麦ごはんをゴマ塩おにぎりにして食べてもらいました。味噌汁の具は柏たなか農園で採れたダイコンとカブを使いました。とてもシンプルな食事でしたが、好評でした。
この日収穫したもち麦をその場でお米と混ぜて炊くわけにはいきません。そこで1週間以上前に刈り取って乾燥させておいたものを前日になってゴミを取り、当日の朝、モチ麦ごはんを炊いておにぎりにしました。かなりきわどいタイミングで試食用の新もち麦を間に合わせることができました。
新もち麦を試食してもらいながら「もち麦のどこが“健康食品”なのか?」についてお話をさせてもらいました。参考にしたのは、4月8日にテレビのNHK総合でもち麦を紹介した番組「ゆうどきネットワーク」、麦製品メーカーのはくばくのホームページなどです。
もち麦は大麦の一種で、食物の中では食物繊維=βグルカンの含有量が特別に大きいことが特徴です。βグルカンは食事を身体に取り込む際の栄養吸収を調節することにより、一度に大量の糖分を血液中に送りこむことを防ぎます。その結果余分な糖分を脂肪にしてため込まずにすみます。しかも、含まれるでんぷんがもち性なので、もち麦ごはんにするとプチプチ、モチモチした食感でとても食べやすいことから、毎日の食生活に取り入れやすいです。日本の場合、主食はごはんが一般的なので、お米にもち麦を混ぜたもち麦ごはんを普段から食べていれば自然にメタボ対策ができてしまいます。また、心臓疾患のほかに排便促進、正常な腸機能の維持などの効果があることも欧米はじめ世界で認められるようになっており、今や「βグルカン効果は世界の常識」となりつつあるようです。
参加者の皆さん、とても関心を持ってくれ、お米ともち麦を混ぜる時の比率、モチ麦の保存方法、お米や他の麦との違いなど次々と質問が出ました。これからはもち麦の「おいしさ」だけでなく、「健康増進効果」についても消費者の皆さんに分かりやすく説明すべきだと感じました。