「都市」と「近くの農業・農村」を結ぶ柏たなか農園のブログ

投稿日:2021年12月31日 11:54 pm



 久々のブログですが、この空白の時間は柏たなか農園にとって大変な事態が進行していました。事業の継承問題です。手っ取り早い方法として身近にいる若い人に会社を任せようとしたのですが、結果は失敗でした。農業会社に必要なことは技術と営業ですがそのいずれもきわめて未熟でした。このまま突き進んでもうまくいきそうにないので、この秋のもち麦の種まきは面積を大幅に減らしました。本来なら今頃、畑は若いもち麦の葉の薄緑色で覆われているはずですが、写真のとおり、見えるのは枯れた雑草ばかりです。

 

 柏たなか農園は都市近郊型の農業会社なのではじめは都会の若者でも容易に引き継げると考えたのですが、いざやらせてみるとうまく行きません。例えば農業が好きだといっても小さな家庭菜園を楽しむのと広い農場を経営するのとはまるで違うのです。作物を栽培するため圃場の管理運営も面積規模が違うので同じ感覚ではうまく行きません。できた農産物もロットが大きいだけに販売ルートに乗せるのも大変です。余らせてしまったら大量廃棄という事態も起きかねません。つまり生産に入る前の段階から生産と販売の計画をしっかりと立て計画通り作業を進めなければなりません。農家なら当たり前のことですが、外から見ているだけでは分からないのです。

 

 千葉県柏市北部の耕作放棄地だった畑を再生させるところから柏たなか農園は始まりました。柏市は大都会のように思われますが北部と南部は大農村地帯です。そこでの農業は都市部に近接しているという「地の利」を考えて設立当初、柏市とその周辺に住む都市住民に野菜の栽培技術を教える「体験農園」という事業から始めました。その後主力作物となる「もち麦」の栽培を始めました。今でこそもち麦は広く知られるようになりましたが、当時は知る人も少なく、柏市とその周辺でもち麦を置いてくれる店を探して地道な営業活動をしてきました。2016年ごろから健康食品としてもち麦が注目され一気に全国区に駆け上がり生産が追いつかなくなりました。柏たなか農園も近くの農家に生産委託して生産量を増やしました。しかし常に不足というわけではなく、時に過剰になることもあります。そのたびに収益が上下に振れることになります。

 

 「体験農園」と「もち麦」という収益性の面でも2つの異なるタイプの事業を組み合わせることで会社を安定した成長軌道に乗せようとしてきました。このような経営の大枠がこの一年で崩れてしまいそうになりました。つまり、直接的、間接的に値上げすることによって目先の利益を上げようとしたのです。しかしながら客観情勢は容易に値上げを受け入れてくれるほど甘くはありません。

 

 この秋、柏たなか農園の畑ではもち麦の作付け面積を大幅に減らしました。もち麦の種まきは毎年11月です。種まきに先立ち排水対策、雑草対策、たい肥散布などの準備作業があり、ここから翌年5月の収穫まできめ細かい栽培管理をしなければなりません。素人さんが一連の作業をこなしていけるか、見通しが立ちません。やむなく今年の種まきは見送らざるをえなかったのです。柏たなか農園全体としては委託生産があるのでもち麦の生産量としては前年並みに近い収穫量を確保する計画ですが、自前の畑の生産量が減るのが残念です。事業を続けることの難しさを感じています。

投稿日:2021年7月19日 1:29 pm



柏たなか農園の主力作物といえばもち麦。その主力作物・もち麦を始めたきっかけから今年のもち麦の収穫まで柏たなか農園のもち麦のすべてを紹介するビデオができあがりました。以下のURLです。→ https://youtu.be/c5Bwk9INYuY




制作してくださったのは柏の野菜ソムリエ・亀岡さんとビデオ・クリエータの荻原さん。5月のもち麦収穫直前に柏市北部の柏たなか農園に来て取材してくださいました。もち麦の魅力をとてもよく伝えてくださっており、視聴する人もいっしょに楽しめる内容になっています。私にはできないプロの“ワザ“と感心しております。




ご覧になって納得いただけたならぜひURL https://youtu.be/c5Bwk9INYuY を拡散してくださるようお願いします。これ以上ない「柏たなか農園のもち麦」の宣伝になります。ネット販売チャネル http://www.farmlabo.com/shop.html もよろしくお願いします。

   柏たなか農園・松本



投稿日:2021年3月21日 9:59 pm

柏たなか農園にとっての321日は特別の日です。10年前のこの日、東京電力福島原子力発電所が吐き出す放射性物質を大量に含む雨雲が首都圏へと南下、東京の手前の千葉県北西部・東葛地方に大量の放射能の雨を降らせ、この地に住む者、事業を営む者の多くが環境汚染とそれに伴う風評被害に苦しむことになったからです。原子力発電所がある限り同じような事故は日本のどこでも起こりうるわけで、直接体験した者として伝え続けなければならないと思います。

 

あの日から半年?1年くらい?でしょうか、東葛地方の中心都市である柏市は放射線量の多い「ホットスポット」としてテレビなどで繰り返し報道されました。その結果、柏市内の地価が下がり、農産物が出荷できなくなるなど大変なことになりました。

 

柏たなか農園も一般市民向けの野菜作り教室「土の学校」がピンチに陥りました。会員が農園で作った野菜を家に持って帰っても食べてもらえない、孫に食べさせようとするとその子の母親から拒否されるといったことも起きていました。翌年、新会員を募集するもほとんど集まりません。前年の2010年に生産を始めたばかりのもち麦は放射線量が規制値ぎりぎりのため全量廃棄しなければなりませんでした。

 

柏市内の放射線の測定値は徐々に下がって行ったのですが、問題は「風評」でした。柏の米や野菜は放射線量を測り規制値を下回るものだけを出荷していたにも関わらず食品スーパーなどでも敬遠されるようになりました。住民の中には他所の街へと逃げ出す人が相次ぎました。住める土地に住めず、食べられる作物も食べられず、このままでは地域社会が崩壊してしまいます。

 

事態の打開に向けて市民が動き出しました。柏市内の農産物生産者と消費者、それと有識者が集まり「安全・安心の柏産柏消」円卓会議というのを立ち上げました。ここでどうしたら柏の農産物を安心して食べられるようになるかを議論しました。その中で一つの試案をまとめました。それが「食品1kgあたり20ベクレル」という基準です。基準内であれば安心して食べられますよという柏地方の基準です。この基準を柏市内の食品スーパーや食品店、飲食店などが受け入れました。これが契機となって柏市内から首都圏へ、全国へと柏の農産物が受け入れられるようになりました。

 

あれからちょうど10年、あの時全量廃棄した柏たなか農園のもち麦はその後の健康食ブームもあり自社の畑だけでは生産が追いつかず近くの農家に委託生産をお願いして生産量を確保するまでになりました。土の学校も鉄道(つくばエクスプレス)沿線に移り住む“新住民”を中心に子育て世代が集まってきて、原発事故当時には想像できないくらいにぎわっています。

 

いまでは柏や近郊の人々も柏が10年前にホットスポットといわれて大変なことになっていたことなど記憶のかなたに消え去ったかのようです。しかし、原発暴走事故によるすさまじい環境汚染とそれに伴う風評被害のことは忘れるわけには行きません。さらにこれらを克服するための市民の行動が危機に陥った地域社会を救ったということを忘れてはなりません。

投稿日:2020年12月25日 11:26 pm



 毎年今ごろになると土の学校の実習畑はさびしくなるのですが、今年は少しでも賑わいを残しておきたいと頑張りました。これから正月に向けて鍋ものなどに使えるハクサイ、長ネギなどが残っていますが、さらにホウレンソウ(チヂミホウレンソウ)、コマツナも種まきを遅らせて何とかここまで引っ張ってきました。

 土の学校の秋は畝いっぱいに種まき、植付けをして収穫の秋を迎えることができました。カブ、ホウレンソウ、シュンギク、ミズナ、キャベツ、レタス、ロメインレタスなどの定番野菜に加えてサトイモ、ラッカセイなども栽培しました。実習畑の他に広い麦畑の刈り取り跡を使ってサツマイモも栽培しました。これらの作物はほぼ11月までに終わりました。




あとに残るのはハクサイと長ネギ、ニンジン。それに寒さ対策として畑の土に埋めたダイコンなど、だんだんさびしくなります。

これまではこの程度でしたが、正月を前に畑がさびしくみえるのが気がかりでした。土の学校は基本、露地栽培なので冬に向かって加温するなどは大変です。それでも冬に収穫できる野菜の種類をもう少し増やせないだろうか考えて来ました。その結果、今年試みたのは葉もので寒さに強い野菜を少し時期を遅らせて種まきすることでした。その一つがチヂミホウレンソウで種まきは10月後半でした。さらにコマツナをタネからではなく苗を育てておいて畑に植付けるという試みを11月中旬にやりました。




 チヂミホウレンソウ、コマツナとも頑張れ頑張れと応援のかけ声だけでしたが、12月の後半には収穫できる大きさに育ちました。肥料を与えるタイミングなどもう少し工夫すべき点はありますが、とにかく真冬に収穫できる葉もの野菜の種類を増やすということでは第一歩を踏み出しました。




これから正月に向けて鍋物などで身体の芯から温まりたい時期です。冬の野菜の種類を増やしてこの時期の料理にもっと彩りをくわえたいと考えています。

投稿日:2020年10月31日 11:49 pm



 農園の秋の一番のイベントといえばイモ掘りです。10月は3回開催しましたが2回目に予定していた17日が雨天で翌18日に変更となり、都合悪かった人が流れ込んだこともあり31日は110人を超える、農園としてはかつてないものすごい参加者数になりました。




 イモ畑いっぱいに広がる芋の枝葉を取り除くことから始めます。芋のつるを残していたのでは仕事にならないのでまず枝葉をまとめて畑の外に出します。それからやっとイモ掘りが始まります。この日の参加者はほとんど子連れです。親たちはできるだけ子どもにイモ掘りの作業をさせたいのですが、子どもにやらせても作業ははかどりません。イモ畑を区切って参加者ごとに区画を割り振るのですが、参加者も早いチームと遅いチームができてしまいます。農園長の私が声を張り上げて作業の指示をするのですが、「イモ掘りは競争ではありません」と最初に断っているのでせかせたくありません。結果、のどかな時間が過ぎていきます。




 掘り出した芋を軽トラで運んで畑の広場のビニールシートに広げます。その後は掘り出した芋をみんなで山分けします。この日はたくさん掘り出せたのでその分、たくさんのイモをお持ち帰りいただくことができました。その後、もみ殻くん炭焼き器を使って焼き上げる農園特製の焼き芋を試食してもらいました。




 最後は農園のあちこちを回って作物を収穫してもらう農園ツアー、ハロウイーンカボチャのくりぬきワークショップ、たき火と3コースに分かれて農園の秋を最後まで楽しんでもらいました。1031日がちょうどハロウイーンに重なったこともあり参加者数が多くなりすぎないかと心配でしたがちょうどカボチャの数だけ参加者が集まってくれて、みんなで自作のハロウイーンカボチャをお持ち帰りいただくことができました。農園ツアーでは広~い農園全体を案内し、ピーマン、コマツナなど農園の畑に植わっている野菜を収穫してもらいました。




 今回、参加者数がとてつもなく多くなったのは、やはりコロナによる感染者の広がり、人が集まる場所への集中が規制されるなどの中で、残された数少ない開放空間ということで農園に人気が集まったのだと思います。

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