「都市」と「近くの農業・農村」を結ぶ柏たなか農園のブログ

投稿日:2017年6月4日 8:29 pm

 

 もち麦の収穫、64日ですべて終了。黒穂病対策に追われながら何とか収穫までたどり着きました。これから乾燥調製、籾摺り選別、さらに袋詰めなどの工程を経て市販できるようになるのが6月下旬の予定です。

 もち麦の収穫準備も遅れに遅れ、柏たなか農園のもち麦もいつもは5月で終わるのに今年は62日までずれ込みました。原因は収穫に使うコンバインの操作方法が途中で分からなくなりメーカーの営業マンに見てもらわなければならなくなり、2日ロスしたからです。今年は昨年一昨年に比べて梅雨入りが遅れたために助かりました。委託で生産をお願いしている未来農場も3-4日に収穫してもらいました。



 柏たなか農園の畑では麦刈りの翌日に体験農園・土の学校のスイカ植え付け実習があり、麦畑は一夜明けたらスイカ畑にというあわただしさでした。まず刈り取り後の麦ワラを運び出し、その跡をトラクターで何回か耕うんした後、肥料を投入してまた耕うん、ビニールマルチを張る位置に合わせて溝を掘ります。ここまでを当日朝までかかって準備し、午前10時からのスイカ植え付け実習に突入です。用意してある溝に合わせてビニールマルチを張り、マルチに穴をあけてスイカの苗を植え付けました。



 今年のもち麦は黒穂病対策に追われ、4月中旬から5月連休の前後約1ヵ月、麦畑の黒穂を抜き取る作業に費やさなければならなくなりました。この間、もち麦以外の作業がほとんどストップしてしまい、スイカの植え付けも上記のような事態に陥りました。柏たなか農園の2017年産もち麦の収穫量は当初予定の3分の1程度にしかなりませんでしたが、それでも柏市内と生協への供給だけは確保することができそうです。

 ここで一言お断りしておかなければならないことがあります。このブログでこの2ヶ月間、「大麦の黒穂病」を取り上げてきたのですが、これは黒穂病が広がった畑で生産された「もち麦」を食べた人に何らかの悪い影響が出るということではまったくありません。消費段階での問題ではないのでマスコミなどで取り上げられる機会がほとんどないのですが、生産者にとって黒穂病は大変心配な伝染病です。タネ麦が黒穂病の病原菌に感染するとそのタネ麦が発芽して出てきた麦全体に黒穂菌が広がり、複数に分かれた茎(分げつ)の先に形成される穂の麦粒すべてが黒穂菌の胞子だらけにされてしまいます。黒穂菌に侵された分だけ収量が減ります。放置しておくと黒穂菌がどんどん広がり数年のうちに収量がほとんどなくなります。

 対策としてはまずタネ麦を消毒し、黒穂菌がタネ麦に侵入するのを防ぐことです。この対策を怠ったのが今年の黒穂病大発生の直接の原因でした。消費段階と同様、生産段階での問題にも普段から警戒心を持ってかからなければならないのですが、今回はこの点で大失敗でした。