「都市」と「近くの農業・農村」を結ぶ柏たなか農園のブログ

投稿日:2018年7月22日 9:23 pm



 農園に初めて井戸を掘ることにしました。先週畑の中央部にある杉林の下に高さ7メートルのやぐらを立て、そこから地下の水脈をめざして金属のパイプを下して行きます。約40メートル掘り進んで無事、水脈に到達しました。濁った水を吐き出させてきれいな水が出るようになって一応完成なのですが、この後ポンプを使って水をくみ出すには電気が必要です。近くに立っている東京電力の電柱を見つけて、電力を引き込む申請をして許可がとれてから工事です。実際に使えるようになるまでもう少しかかりそうです。



 畑の作物に必要な水は基本的には雨水まかせですが、この夏のように日照りが続くと畑は干上がってしまい、放っておくと作物は枯れてしまいます。特に野菜の種を播いて発芽するまでは土を湿らせておかなければならず、水撒きは欠かせません。土の学校の場合、農家と違って一般市民の野菜作りですから、毎日見張っているわけにもいかず、久しぶりに畑に来てみたら作物がみんな枯れていたといった事態は避けなければなりません。そこでこの時期、大量の水が必要になります。



これまでは近くの農家から水を汲んでいました。200リットルの大きな容器を軽トラに積んで1日何回と運んでは畑の水ために貯めておき、バケツやジョーロで水撒きします。今年は軽トラで運ぶ回数が1日に6-7回にもなりました。昨年の2倍くらいに増えた感じです。原因の一つは雨が降らないため1回あたりの水撒き量が増えたこと。もう一つは体験農園の会員が増えたため水撒きの面積が増えたことです。毎日夕方には水ためを満タンにしておくのですが翌朝にはほとんど使い切ってしまうという状況です。ここまで来るともらい水では限界です。そこで井戸を掘ることになったのです。 

もともと、柏たなか農園の畑は田んぼの上に都会の残土を数メートル載せて作った埋立地です。埋立地に井戸を掘ろうとすると掘ったそばから埋め立てに使った土砂が崩れおちるため井戸は掘れないと言われました。それでも何とかしなければならなくなり井戸掘り業者に相談したところ、杉林の下なら可能ということで井戸掘りに着手してもらいました。 

  井戸掘り業者さんの話では都市の水不足は年々深刻になっているそうです。とくに東京都心などの大きなビルが水の使用を制限されると夏の冷房ができなくなるなど機能がマヒしてしまいそうです。そのため自衛策として井戸の需要が急増しているそうです。都心のビルは道路ギリギリに建てられていて井戸を掘る機械を設置するスペースも確保できないなど、井戸掘りの前にクリアしなければならない課題もあり、大変そうです。農家でも大量に水を必要とする米作りの方には深刻な影響が予想されます。水不足は人々の生活にとって深刻な問題になってきているようです。