「都市」と「近くの農業・農村」を結ぶ柏たなか農園のブログ

投稿日:2012年8月16日 2:33 pm


柏たなか農園の主力作物のモチ麦、今年は売れ行き順調です。去年まではつくば農園に一番近いつくばエクスプレス・柏たなか駅とその隣の柏の葉キャンパス駅などの駅前で開かれる青空市が主要な販路でした。今年は6月中旬に柏市最大の直売所「かしわで」で試食販売をしたところ好評だったので、かしわでの穀類コーナーに置いてもらうことになり、去年の倍くらいのペースで売れるようになりました。

モチ麦はもち性のでんぷんを含む裸麦でお米といっしょに炊くとおこわのような食感になります。白米だけのご飯と比べて栄養のバランスが良いなどの理由でお米に雑穀を混ぜて食べる人が増えているようですが、食べやすさという点では白米にかなわない気がします。それに対してもち麦を白米に混ぜたモチ麦ごはんはもち性のでんぷんが入っていること、裸麦の薄皮に適度な歯ごたえがあり、白米とは違うおいしさを味わうことができます。このため、まず試食してもらうことだと考え青空市などに出店してきました。その延長でかしわででモチ麦ごはんをゴマ塩むすびにして試食販売をやってみた結果、大変好評だったというわけです。

6月のこのブログでも取り上げましたが、モチ麦は収穫のタイミングを測るのが難しいと感じています。今年は梅雨がどのくらい長引くのかなど天気の見通しがつかめないと思い、6月初めに一気に収穫してしまいました。その結果、収量は若干落ちたかもしれませんが、品質的には良かったと思っています。

それと心配なのが放射能でした。収穫してすぐに専門の分析センターで測定してもらった結果は1kg当たり約5ベクレル(国の基準は同100ベクレル)とかなり低いことが確認できました。畑の土に混じっている放射性物質がどの程度作物に吸収されるかを示す「移行計数」が作物ごとに公表されていますが、モチ麦は特殊ということもあり、公表された一覧の中にはデータが載っていません。麦類と同程度と推測されますが、実際に測ってみないことには確信はもてませんでした。今回測定結果を得たことで消費者からの質問にきちんと答えることができるようになりました。

本当は畑を細かく区分し、区画ごとに土壌中の放射性物質量とそこで採れた作物に含まれる放射性物質量を11に対応させることができるように準備しておけばよかったのですが、収穫する時はそこまで頭が回らず、収穫のタイミングばかり考えていました。スイカ、カボチャ、サツマイモなど他の作物については区画ごとに土壌の検査結果と対応出来るようにするつもりです。

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投稿日:2012年8月3日 11:16 pm


東大工学部の山田一郎教授が主宰する「IT農業P研究会」という勉強会があり、私も数年前から参加しています。このIT農研のみなさんに3日、柏たなか農園を見学してもらいました。柏たなか農園にはITらしい設備があるわけではありませんが、現場の視点に立った農業のIT化を考える材料にしていただけたらとの思いから来ていただきました。

現在、柏たなか農園の主力作物はスイカです。麦を刈り取った後に麦わらをそのまま残し、その上にスイカのつるを這わせるという栽培方法です。ちょうどスイカの花が咲き、毎日受粉がおこなわれ、次々と実ができてくるタイミングです。スイカ畑にはスイカの実がなった場所に目印として立てたメダケが目につきます。そのスイカ畑を背に柏たなか農園のスイカ栽培法を説明しました(写真)。私が今一番望んでいるのはスイカを割らずに中身の甘さを推定できる安い測定器です。今でも数十万円以上の測定器が売られてはいますが、スイカの販売価格と比較すると割に合わないという結論になってしまいます。農作物の価格に対応した低コストの機器が求められているのです。



農園の一番奥では落合さんが自然農法という栽培方法で野菜や雑穀を栽培しています。ここではパソコンを使って作物の栽培管理に必要なデータを記録、分析する仕組みにトライしています。畑の状態をカメラで撮影しスマホに送るなど柏たなか農園で唯一、ITらしさを感じさせる設備なので、落合さんから説明してもらいました(写真)。自然農法は雑草などを含め出来る限り自然環境を生かすという考え方のようですが、半面草刈りに追われることになります。そこで落合さんからは「低価格の草刈りロボット」に期待しているとの話がありました。

農園見学の後は東大柏キャンパスの山田先生の研究室に移動して懇親会。柏たなか農園で採れたナス、ピーマン、トマト、キュウリ、ネギなどを柏駅前の居酒屋「SHIN」で調理、モチ麦ごはんのお弁当にして食べてもらいました。

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