「都市」と「近くの農業・農村」を結ぶ柏たなか農園のブログ

投稿日:2016年9月23日 10:32 pm

 


 悪天候が続く中、雨が止むタイミングをねらってアブラナ科のキャベツ、ブロッコリー、ハクサイなど秋冬野菜の植付けを進めています。毎年、野菜の苗作りは苦戦してきましたが、この夏は苗作りの外部委託という新たな選択をすることでだいぶ楽になりました。委託先は畑の近くにある千葉大学柏キャンパスの育苗施設です。

 

 

 

 秋冬野菜の苗は夏の暑い盛りに種播きして発芽から45週間、暑さ・病害虫と闘いながら育てなければなりませんでした。アブラナ科の主要な害虫といえばチョウやガの仲間=リンシ目の幼虫です。これを防ぐには苗を育てるビニールハウスに親のチョウやガを侵入させなければよいわけですが、真夏にビニールハウスの窓を閉め切るなどあり得ません。昼間はらくに50℃を超え苗がまいってしまいます。遮光のビニールハウスもありますが、日照不足で苗がひょろ長い徒長苗になってしまいます。

 

 

 

これらの課題は千葉大柏キャンパスの育苗施設なら一気に解決してしまいます。ビニールハウスの中の環境管理が完璧で、外部からの害虫の侵入も遮断できるからです。委託料はかかりますが、ホームセンターの野菜苗を買うよりはるかに安価で、しかも自分の判断で品種を自由に選べます。「苗半作」と言われるように野菜作りの中で苗作りは大変重要です。ですが、野菜苗を必ずしも内製する必要はないわけで、今回のように外部委託という選択肢もあったわけです。委託先の千葉大の先生は「これからの野菜作りは苗専業と苗を外部から調達する農家に分かれていきます。その方が合理的でしょう」と言っていました。

 

 

 

千葉大柏キャンパスには植物工場と呼ばれる高度に環境管理された栽培施設が多数建っています。その一角に植物工場とは別に花や野菜の苗を育てる専用施設があります。この施設では作物の種類、品種ごとに異なる発芽適温に合わせて発芽させ、苗の生育条件に合わせて温度、湿度などの生育環境の管理ができます。これまでの柏たなか農園では考えられないような恵まれた施設があり外部委託も受けてくれるのですから使わない手はありません。来年も春先に種播きする春夏野菜の苗作りも外部委託にした方が良いと考えています。