「都市」と「近くの農業・農村」を結ぶ柏たなか農園のブログ

投稿日:2021年5月13日 12:29 pm



柏たなか農園のもち麦畑は今、一面紫色に染まり、幻想的な景観を見せています。今年は春先から気温が高めに推移し農産物全体に早く成長する傾向ですが、もち麦も早まる傾向でこの分だと収穫も5月第3週末から第4週になりそうです。同時に梅雨入りも早まるとの予想なのでこれから空模様を見ながら収穫のタイミングを計ることになります。




 もち麦の穂が色づくのは穂についている麦粒の一つ一つがうす緑から紫に変わってゆくと同時に穂先に伸びるノゲも紫になります。この結果、麦畑全体が紫色に覆われ幻想的といわれる風景が見られるようになるのです。




 麦粒が紫色に見えるのは外側の薄皮の部分がうす緑から紫に変わるからです。薄皮の内側にはデンプンが蓄えられるのですが、今の段階はまだ水分量が多く、デンプンを水に溶かしたようなミルク状になっています。このミルクが美味しいらしく畑の端に植わっている麦の穂はほとんどスズメに食われています。この先麦粒に含まれる水分が徐々に減り麦粒が硬くなってきたら収穫のタイミングです。このため毎日、麦粒の水分量を測ります。
 水分量が少なければその分、収穫したあとの麦粒を乾燥させる手間が少なくて済みます。紫色に色づいた麦の穂は初めは上を向いていますが次第に穂首が下向きにカクンと曲がってきます。ほとんどの穂首が下に向いたあたりが収穫の合図です。このまま畑に置いておくとやがて倒伏といって茎ごと倒れてしまいます。倒れた麦を収穫するには一つ一つ起こさなければなりません。しかも倒れて土にまみれた麦は品質的にもよくありません。




  もち麦の収穫時期はだいたい梅雨入りの直前になります。梅雨に入ると麦の穂が乾かず収穫作業がやりにくくなります。今年は九州で早くも梅雨入りとのことで、首都圏の梅雨入りも例年より大幅に早まるとの予想です。梅雨の晴れ間に麦刈りのタイミングがうまく合えばよいのですが。収穫に必要な機械設備の準備も急がなければなりません。

カテゴリー: 生育情報 もち麦 気象異変

投稿日:2020年9月24日 10:56 pm



 秋の畑の楽しみはイモ掘りです。今年のサツマイモは試し掘りしてみたところサイズが少し小さめです。理由はよく分りませんが、長梅雨で日照時間を確保することができなかったことが芋の生育に影響したと思われます。

 今年は広い畑を目いっぱい使ってサツマイモの苗を植付けました。といっても植付けた苗の本数は前年と同じか少し増えた程度で、ただ芋の畝と畝の間を5mと広~く取ってみました。畝間5mというとスイカ並みの広さです。少し広すぎる気もしますがのびのびとつるを伸ばしてもらえば良い芋が採れるのではないかと勝手に考えてのことです。




 実際の芋の成長ぶりは天気にも左右されるのでなかなか当初の計画どおりには行かないものです。特に今年は6月下旬にイモ苗を植付けた後、7月の1ヶ月間まるまる雨模様の曇天続きでした。初期成長がうまく行くはずがありません。ところが月が変わると同時に梅雨が明けました。それでも8月の高温と晴天続きで遅れを取り戻せるかどうか、まったく見当つきませんでした。結果的には芋のつるは急速に伸びて広い畝間を覆い尽くすほどになりました。ただ、7月の1ヶ月間、日照が極端に少なく8月、9月を合わせてのトータルの日照時間は平年をかなり下回りました。このため芋を太らせるのに必要な日照時間は十分確保できたとは言えません。




 芋の種類は安納イモとベニハルカの2種類。安納イモは焼き芋にするととろ~りととろけるような甘さになるのが特徴です。ただ、もともと南国育ちの品種で寒さに弱く冬に保存しづらいのが難点です。これに対してベニハルカは安納イモに比べると寒さに強く冬まで持たせることも可能です。

 焼き芋はやはり寒い季節ほど暖かさが身にしみ美味しさがいっそう増すのでこれまでは安納イモを多めに植えていたのですが、今年は寒さ対策のことも考えほぼ同数の苗を植付けてみました。


 結果は、ベニハルカは植えた苗がほとんどそのまま育ってくれましたが安納イモは途中で枯れてしまうものが続出、全体の3分の2くらいに減ってしまいました。つるの伸び方もベニハルカの方が広がりが大きく、スイカ並みの畝幅5mの広~い畝間を覆いきってしまうほどです。これに対して安納イモは畝間を覆い尽くすまでにはならず、ところどころ地面が露出しているところが見えます。



 今年のサツマイモ栽培はトータルとしてお天気に恵まれたとは言えません。では天候不順への対策はどうあるべきだったのだろうかと改めて考えてしまいます。振り返ってみて、7月の曇天続きの時に何らかの対策があったのでしょうか? 遅い梅雨明けの後に打つべきカンフル剤のようなものは思いつきませんでした。当農園でやれたことといえば草取りくらいです。そもそも7月の長梅雨がいつまで続くかわからず、8月に入れば夏らしい天気が戻ってくるという保証はどこにもなかった訳で、気象の変動を予想して対策を立てるなどできなかったでしょう。

 来年以後に備えて原因と対策を考えておかなければならないはずですが、正直言ってよく分りません。気温はこのところ下降線をたどっています。ホカホカの焼き芋が恋しくなってきました。

投稿日:2020年8月8日 6:45 am



 長い梅雨が終わりやっと夏が来ましたが、畑の作物には長梅雨による日照不足、病害虫の拡大といった影響が出ています。柏たなか農園の夏の主力作物はスイカですが、もろに影響を受けました。

 スイカは植え付けから3週間くらいでつるが伸び、花が咲き始めます。花には雄花と雌花があり、雄花の花粉を雌花の柱頭に振りかける(=授粉という)ことで生殖が行われ、実がつきます。ところが長雨のため授粉がうまく進まず、実が付きにくい状況が続きました。




 さらにウリハムシの大発生でスイカの葉が食い荒らされ、しかも根元に卵を産み付け大増殖していきました。葉や茎が黒くなり腐ってしまう病気が根元に近いところからどんどん広がり、スイカのつるがあまり伸びないうちに枯れてしまうこともありました。

 スイカの苗を植付けたのは5月から6月初めにかけて、農園の広い畑の中の5カ所でした。順調に行けば8月前半から収穫が始められるはずで、スイカ収穫イベントも何回か計画しました。ところが2カ所は花が咲く前にほとんど枯れてしまいました。1カ所だけ梅雨の期間も実を付けましたが、日照不足で甘みがのらないまま枯れ上がってしまいました。




 後の2カ所が梅雨明けから授粉を始めたのですが、実が太って甘みがつくのは8月の後半から9月初めとなりそうです。このためスイカ収穫イベントも一部中止とし、残る開催日も規模を縮小しなければならなくなりました。

投稿日:2020年7月25日 2:50 pm



 農園の夏の楽しみは野菜の収穫体験。24日は野菜を収穫してそのまま野菜トッピングのピザを焼く体験イベントを開催しました。コロナ対応でお出かけもままならない都会の親子連れが多数「身近な開放空間」である農園に来てくれました。長雨の影響で野菜が値上がりする中、農園の収穫体験はお母さんたちにも好評で親子夢中になってイベント楽しんでいました。25日も同じイベントを予定したのですが時々強い雨が降る悪天候で残念ながら中止。今年は長雨に翻弄されながらも夏野菜収穫体験を次々計画しています。



 ピザ焼きは屋外で手軽に楽しめるお料理企画。柏たなか農園・土の学校の会員さんでお料理の先生をしている方が講師をしてくれました。イーストを入れたピザ生地をこねて30分くらい発酵させます。



発酵させている間、畑のあちこちで栽培している野菜を収穫しまくります。24日の収穫物はナス、ピーマン、万願寺トウガラシとゴーヤ。余った分はお持ち帰りということでピザ焼きに使うよりはるかにたくさん収穫しました。ピザには使わないキュウリや長ネギもついでに収穫しました。長梅雨で野菜が値上がりしているためか、お母さんたち真剣そのもの。




取ってきた野菜を細かく切ってピザ生地の上にのせてからピザ窯に入れます。ピザ焼きは別の会員さんが手伝ってくれました。窯に入れてから数分で焼き上がります。野菜を刻んでピザ生地にのせるのはお父さんの役割。早く食べたい子供らに急かされるように懸命に包丁を動かしていました。




ピザを食べた後は広~い畑を見学です。利根川の堤防のわきまで広がる畑にはスイカが黄色い花を咲かせてちょうど授粉作業の最中です。8月後半から9月にスイカの収穫体験を予定しています。隣の畑にはサツマイモがやっとつるを延ばし始めたところです。イモ掘り体験は10月~11月に開催予定です。次の収穫体験の予告編をかねて農園見学をしてもらいました。



都市に近い場所にある農園はコロナ対応で密集する場所にお出かけができなくなった都市の住民にとって数少ない開放感のある行楽地ともいえます。このため、この夏はいつもの年に増して農園で開催する農業体験への関心が高まっているように思われます。早く天気が回復することを期待するばかりです。

投稿日:2020年5月17日 11:39 pm



 週末の2日かけて、四方に緑のカーテンを巡らした「夏の涼み処」の骨組みを作りました。本来は土の学校の中で希望者だけが参加する選択種目の一つであるゴーヤの第1回の講習で、ゴーヤのツルを這わせるネットとそれを支える竹の支柱を組み立てるのが目的でした。ですがこの後、天井部分を遮光ネットで覆えば風は通すが強い日差しは避けられることになり、そのまま夏の涼み処になるのです。今年の夏も猛暑が予想される中で、ゴーヤが順調に育って緑のカーテンができれば今夏は少しはしのぎやすくなると期待しています。




 柏たなか農園には夏の間、強い日差しを避けるための木立などありません。西北方向に杉の木立がありますが、午後の2時過ぎになってようやく日陰ができる程度です。教室に使っているビニールハウスは天井部分に遮光のフィルムを使っていますが、真夏になると暑くてハウスの中にはいられません。というわけで土の学校の会員の皆さんには、真夏に畑に来る際は気温が高くなる時間帯は避けるように案内しておりました。




昨年もゴーヤを利用した涼み処を作ったのですが、高さが低く背の高い人は入りづらい、水はけが悪く大雨の後など使えないといった課題もありました。今年は昨年より快適に過ごせるように全体に高くし、水を流す溝を掘るなどの改善を加えました。




作業に加わってくれた会員の皆さんは土曜日は雨模様、日曜日はかなりの暑さの中で頑張ってくださいました。しばらく営業自粛の流れが続く中で会員の皆さんもお出かけしづらい状況があり、数少ない開放空間である農園に人が集まりやすいということはあったでしょう。お子さん連れもたくさん来てくれました。畑なら人が密集することもなく、思い切りおいしい空気を吸うことができます。このように農園には開放空間を提供するという役割もあるのだと認識を改めさせられました。

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