「都市」と「近くの農業・農村」を結ぶ柏たなか農園のブログ

投稿日:2015年8月17日 9:25 pm

 17日は雨降りの中、スイカ収穫体験を強行しました。ずぶぬれになるかもしれないと思いつつ、早朝の段階で申し込み者全員にイベントを実施するとの連絡を入れてしまいました。終日雨といっても小やみになることもあるだろうからそのタイミングで畑に出てもらえば良いと都合よく考えていました。

 イベント開始時間の10時を過ぎても雨脚が弱まりそうもなく、ビニールハウスの中で今日のイベントに関係するレクチャーをしながら空模様を見ていました。柏たなか農園のスイカ栽培、今回収穫するスイカの品種、苗の植え付けから収穫までの作業などの話をした後、スイカの収穫のやり方を説明しました。予め作っておいたスイカジュースも味わってもらい時間をつぶしました。そのうちに雨脚が弱くなってきたのでやっと参加者全員、子供らもいっしょにスイカ畑に出てもらいました。雨でぬかるむ畑で雑草の陰に隠れているスイカを探し出す作業は結構大変です。ハサミをギュッと握ってスイカを探すお母さんらの姿は子供より真剣そうに見えました。



 今回収穫したのは枕スイカという長丸の形をして、皮が厚い=ごみに出す部分が多いタイプです。畑に転がっているスイカは全部で100個以上。このうち大きめのものだけ収穫してもらいました。他に遅く植え付けたアジアンという品種のスイカも少し収穫してもらいました。こちらはラグビーボール型で外側の皮の色が濃い緑で中身が黄色です。

 

 

収穫したスイカを軽トラに積んでビニールハウスまで運び、ハウスの中で収穫したスイカの重さを1個ずつ測りました。やはり、今年の早植えスイカは小ぶりで大きなもので6㎏台です。次に糖度計で甘味を測りましたがかなり弱く10度まで届きません。アジアンの方がいくぶん糖度が高く出ましたがそれでも10に届きません。6月から7月にかけての天候がおかしかったのが響いたようです。



 スイカを割ってみんなで試食しました。大人は我慢して食べてくれますが、子供らは正直です。甘味が乗っていないスイカに露骨にまずそうな顔、やむなしです。

 お昼近くになって雨脚がまたひどくなってきました。最後に収穫したスイカをお持ち帰りいただき解散しました。スイカのできはイマイチでしたが、柏市の北部に残る自然環境豊かな畑で雑草をかき分けながらスイカを収穫するワイルドな体験は参加したお母さんや子供らにはとても新鮮に映ったに違いありません。

 前回のブログで今年4月に「都市農業振興基本法」という法律ができたことを取り上げました。その中で都市農業の一形態である体験農園が「市民が農業、農村と触れあう機会を作る」「市民の農業への理解を深める」などの役割を担うと位置づけられていることを紹介しました。今回のイベントも体験農園の活動の一環です。今シーズンのスイカの収穫体験はもう1回、次の日曜、23日の10時から開催します。ご興味のある方は柏たなか農園(メール:mochi47mugi@gmail.com またはFAX 050-1385-5303)までお問合わせ、お申込みください。

投稿日:2015年8月8日 11:52 pm

 千葉県柏市など東葛地方の農家が集まって自民党農林部会長の斎藤健代議士と農業を語る会を開きました。斎藤氏は都市部選出議員でありながら自民党農林部会のトップに就いたことでマスコミをにぎわせたこともあり、昨年地元農家との意見交換会を開催しました。今回はその第2回目です。この間、農協改革の大筋が決まるなど自民党農政の転換が具体化しつつあります。その中で典型的な都市近郊型農業地域である東葛地方の農業をどのように活性化して行くのか?議論が盛り上がりました。

 斎藤議員からは今年4月に「都市農業振興基本法」という法律を成立させたことと今後の展開について説明がありました。都市農業振興基本法という法律そのものが参加者にも知られていなかったようですが、これまで根拠が明確でなかった都市部の農地に対する課税の特例(宅地並み課税の回避、生産緑地制度など)を正当化する根拠になる法律であること、今年末の税制改正などにもさっそく影響が出てくることなどを説明していました。

 農地の宅地並み課税など、農家がいままでお目こぼしで課税を免れてきたような印象を与えたのに対して、新法が成立したことで都市部に農地を残しておくことの積極的な意味をアピールし、課税を軽減する必要性を納得してもらう根拠となるといいます。

 法律そのものには抽象的にしか書かれていませんが、農業一般ではなく「都市農業」独自の役割、存在価値が規定されたことの意味は思ったより大きいかもしれません。振興法では基本理念として「都市住民が身近に農業に親しむとともに農業に関して学習することのできる場…都市住民の農業に対する理解の醸成等の多様な機能を果たしている」を掲げています。まるで柏たなか農園で開催している体験農園「土の学校」の役割そのもののようにも受け止められます。具体的な振興策については市や町など地方自治体レベルの振興計画を作る中で明確になってくるので、やる気のない自治体では何も進まないということにもなりそうです。

農業の振興といっても、結局は農産物、その他のサービスを提供する力を引き上げてゆくことに行きついてしまいます。そのためには需要開拓、商品イメージの向上などが欠かせません。となると生産者=農家と販売・加工などの農産物を受け入れる側とでいかに良い関係を築いてゆくかが問われることになります。

 実際、農業への企業の新規参入の状況を見てみると、参入する流通・加工側は国内農産物の需要が伸びると見ており、この点が農家の見方と大きなかい離があり、せっかくのビジネス拡大の機会を農家側でなく流通加工側にもって行かれる恐れもある――斎藤議員はこう指摘しました。地域の農家と流通、加工などの需要家側がひんぱんに集まって知恵を出し合い農産物の需要をいっしょになって開拓している例もあるそうです。

 先進地域に学びつつ、東葛地域にしかできない都市近郊型の農業展開へと踏み出す時が来たようです。参加した農家の皆さんも手ごたえを感じていたようです。