「都市」と「近くの農業・農村」を結ぶ柏たなか農園のブログ

投稿日:2017年3月21日 8:55 pm

6年前の今日、3月21日は柏市を含む千葉県北西部、茨城県南部に大量の放射性物質を含む雨が降り注ぎました。東京電力の福島第1原子力発電所の核燃料がコントロールできなくなり膨大な放射性物質が外部に放出され、放射性物質を含む雨雲が東京方面に向かう途中でばらまいて行きました。



 この年、柏たなか農園では「もち麦」の生産に本格的に乗り出していました。もち麦は3月が一番の成長期にあたり、月初めに缶コーヒー1個分の背丈が月末には4個分にもなります。その成長期に大量の放射性物質を含む雨が降り注いだのですからたまりません。思い切り吸い込んでしまいました。収穫からしばらくして出た測定結果は規制基準値にかなり近い数値を示していました。この年のもち麦は結局、全量廃棄しなければならなくなりました。
 その後、柏市内では放射能汚染問題に正面から取り組むボランティアが立ち上がり、柏たなか農園の畑も全地点、放射線量を調べてくれました。柏市も汚染レベルの高い場所の土を除去して汚染されていない土に入れ換えるなどの作業をしてくれました。これらの対策の結果、翌年からは放射線量は高精度の線量計で計っても「検出せず」へと変わり、もち麦の生産も再開できました。もちろん、放射能検査では全く問題ありませんでした。
 残念だったのは放射能検査で「問題なし」となっても千葉県北西部、茨城県南部の農産物がしばらくの間、敬遠されがちだったということです。いわゆる“風評被害”です。柏市では農産物の生産者と消費者と専門家が「安全・安心の柏産柏消」円卓会議という市民の自主的な活動を立ち上げました。市内の畑の汚染状況を調べ尽くし、汚染された土壌を入れ替えるなどの対策を打つ中から「みんなが安心できる放射線レベル」を設定するところまでこぎつけました。市民の活動が大きな力となって風評は払拭されて行ったのです。



 あれから6年、柏たなか農園の3月はまさにもち麦の急成長期です。このブログで何度か取り上げましたが、全国的な健康食ブームが追い風になって需要も急増しています。この先、もち麦が順調に育って需要増に応えられるだけの収量が得られるようがんばります。