「都市」と「近くの農業・農村」を結ぶ柏たなか農園のブログ

投稿日:2017年7月30日 9:46 pm



 畑の近くの田中近隣センターで30日、農園で採れたトマト、ナスなど夏の野菜をトッピングしてピザを焼こうという「ピザ焼き体験イベント」を開催しました。ピザ生地をこねるところから始めて、トッピングする野菜を切り刻んで上に載せ、オーブンで焼く作業は分かりやすく、参加した体験農園の会員さは全員「家のオーブンでも作れそう」とすっかりピザ焼きにはまっていました。



 柏たなか農園ではいま、トマト、ナスなど夏野菜が真っ盛り。これらの野菜を使ったイベントができないかと思案していたところに体験農園「土の学校」の会員さんから「採れたての夏野菜をトッピングしたピザを焼く体験講座を開催しませんか」と言われたのがことの始まりでした。暑い中、農園に通ってくる会員さんに聞いたところ「畑にピザを焼く窯を作るんですか?」などピザ焼きに興味を持つ人が意外に多かったので料理実習室のある公民館などの施設を探すなど本格的に取り組むことにしました。近くの田中近隣センターの料理実習室が週末でも案外予約が入っていないことが分かったので早速借りました。



 まずピザ生地。フツーに小麦粉をこねるだけでは違いが見えないので柏たなか農園の主力作物であるもち麦を生地に混ぜ込むことにしました。予め茹でたもち麦を用意して小麦粉の約4分の1の量を混ぜ込みます。トッピングにはトマト、ナス、ピーマン、万願寺トウガラシ、シシトウ、ゴーヤ、それにオクラも使いました。これらの野菜を片端から切り刻みピザ生地の上にのせて行きます。



 採りたての野菜を使うっていいですね。焼き上がったピザは一番上に振りかけたチーズ以外に動物性食品はなく、ほとんど精進料理ですが、もち麦入りのピザ生地の香りが良いなど大変好評でした。男性会員からはビールといっしょに食べたいとの声、焼いたピザすべてお持ち帰りされました。ピザ焼き、夏のイベントのネタになりそうです。







投稿日:2017年6月4日 8:29 pm

 

 もち麦の収穫、64日ですべて終了。黒穂病対策に追われながら何とか収穫までたどり着きました。これから乾燥調製、籾摺り選別、さらに袋詰めなどの工程を経て市販できるようになるのが6月下旬の予定です。

 もち麦の収穫準備も遅れに遅れ、柏たなか農園のもち麦もいつもは5月で終わるのに今年は62日までずれ込みました。原因は収穫に使うコンバインの操作方法が途中で分からなくなりメーカーの営業マンに見てもらわなければならなくなり、2日ロスしたからです。今年は昨年一昨年に比べて梅雨入りが遅れたために助かりました。委託で生産をお願いしている未来農場も3-4日に収穫してもらいました。



 柏たなか農園の畑では麦刈りの翌日に体験農園・土の学校のスイカ植え付け実習があり、麦畑は一夜明けたらスイカ畑にというあわただしさでした。まず刈り取り後の麦ワラを運び出し、その跡をトラクターで何回か耕うんした後、肥料を投入してまた耕うん、ビニールマルチを張る位置に合わせて溝を掘ります。ここまでを当日朝までかかって準備し、午前10時からのスイカ植え付け実習に突入です。用意してある溝に合わせてビニールマルチを張り、マルチに穴をあけてスイカの苗を植え付けました。



 今年のもち麦は黒穂病対策に追われ、4月中旬から5月連休の前後約1ヵ月、麦畑の黒穂を抜き取る作業に費やさなければならなくなりました。この間、もち麦以外の作業がほとんどストップしてしまい、スイカの植え付けも上記のような事態に陥りました。柏たなか農園の2017年産もち麦の収穫量は当初予定の3分の1程度にしかなりませんでしたが、それでも柏市内と生協への供給だけは確保することができそうです。

 ここで一言お断りしておかなければならないことがあります。このブログでこの2ヶ月間、「大麦の黒穂病」を取り上げてきたのですが、これは黒穂病が広がった畑で生産された「もち麦」を食べた人に何らかの悪い影響が出るということではまったくありません。消費段階での問題ではないのでマスコミなどで取り上げられる機会がほとんどないのですが、生産者にとって黒穂病は大変心配な伝染病です。タネ麦が黒穂病の病原菌に感染するとそのタネ麦が発芽して出てきた麦全体に黒穂菌が広がり、複数に分かれた茎(分げつ)の先に形成される穂の麦粒すべてが黒穂菌の胞子だらけにされてしまいます。黒穂菌に侵された分だけ収量が減ります。放置しておくと黒穂菌がどんどん広がり数年のうちに収量がほとんどなくなります。

 対策としてはまずタネ麦を消毒し、黒穂菌がタネ麦に侵入するのを防ぐことです。この対策を怠ったのが今年の黒穂病大発生の直接の原因でした。消費段階と同様、生産段階での問題にも普段から警戒心を持ってかからなければならないのですが、今回はこの点で大失敗でした。

投稿日:2017年5月10日 5:15 am



 もち麦畑に黒穂病が蔓延して、大変なことになったという話を先月このブログに載せました。その黒穂病に侵された穂を抜き取る作業が昨日5時過ぎに終了しました。作業を始めたのが419日だったのでちょうど3週間でした。この間、GWの中で3日間だけ作業を中断しましたが、それ以外はほぼ毎日朝7時から夕方4時過ぎまで黒穂の抜き取り作業に明け暮れました。体への負担もさることながら今後の経営へのダメージもあり、東京電力福島原発による放射能汚染以来の経営危機と受け止めています。

 黒穂抜き取り作業を始めた419日はもち麦の穂がほぼ頭を出した程度でした。この時点で黒穂に侵された麦は黒い穂が出てくるのですぐ分かります。麦は分げつといって1粒の種が発芽したあと複数の茎をのばします。黒穂病は元になるタネ麦に侵入するので分げつした茎のてっぺんに形成される複数の穂が全員、黒い穂になります。最初の作業は黒い穂をみつけるや、分げつした茎をまとめて株ごと抜き取ります。



 今回黒穂抜き取りに挑んだ畑は委託先の農場の1.6haの畑でした。最初に穂が出てから次々に後続の穂が出てきます。穂が出始めたタイミングを狙って、黒い穂が出てきたら黒穂病に侵されたということですから、分げつした茎をまとめて根元から抜き取り、畑の外に運び出します。結構な重さで作業は基本、中腰です。中腰で何百、何千と持ち麦の黒穂を引き抜く作業は人の腰にかなりの負担がかかります。若い人に手伝ってもらいましたが、作業のしんどさに音を上げていました。

 この時点でまだ穂が出ていないもち麦があります。遅れて出てくるもち麦の黒穂や見落としていた黒穂を抜き取る作業を1.6haの畑でもう一度、展開します。こうして2段階に分けての黒穂抜き取り作業を進めました。合わせて3週間、体は完全に悲鳴を上げていました。それでも黒穂抜き取り作業を続けたのは、前回もここで説明しましたが、ももち麦を育ててくれた需要家の方々への供給をだけは2017年度も継続したいという思いからでした。

 今回の黒穂病の発生は黒穂抜き取り作業による体への負担だけでなく、柏たなか農園の経営という点でも大きな影響を及ぼしています。柏たなか農園は2011年の東電福島原発事故による放射能汚染でもち麦も廃棄しなければならなくなりました。今回の黒穂病で再びもち麦の生産販売を継続できるかどうか、瀬戸際に立たされています。まず、伝染病の発生を未然に防ぐ仕組みです。黒穂病の場合は種子消毒が必須ですが、他の伝染病に対しても適切な予防手段の確認、研究機関への相談窓口の確保なども重要だということが分かりました。農業経営は天候以外にもさまざまなリスクがあるといことを思い知らされました。

投稿日:2017年5月4日 12:20 am



毎年GWあたりで開催している土の学校の春の集い、今年は5月3日に開催しました。2011年の原発事故とその後の放射能汚染を体験したことで、春の集いは毎年サバイバルをテーマにしていろいろな企画を試みてきました。今年は畑に隣接する竹林から切り出した青竹を使ってご飯を炊いてみようという試み。



青竹の節の部分を含めて20cm~30cmを伐り出して炊飯器に使います。節の部分を底にしてお米と1.5倍の水を加え、木炭などの強い熱でご飯を炊きます。予行演習では約30分加熱し、火を落として15分おくと炊きあがるはずでしたが、本番では加熱に1時間近くかかりました。ご飯が炊けるまで待てないということで、予定より早く飲食を始めてしまいました。始めて少しして竹筒炊飯によるご飯も無事炊きあがりました。炊きあがった竹筒ご飯は底の近くのご飯までスプーンなどが届かず、斧で竹筒を縦に半分に割って食べました。日常生活の中では経験しないアウトドアな炊飯に参加者の皆さんも大感激でした。



この日は竹づくし。盛り付ける食器にも出来るだけ竹を活かそうということで、青竹を縦に半割りにして節と節の間にサラダを盛り付けてみました。これも他では見かけない珍しい光景。テーブルに運ばれてきた長ーい容器をにもられたサラダを一人一人紙の容器に取りわけてたべていました。筍も竹林から取ってきたのを皮がついたまま火にくべてやわらかくした後、だしを入れて鍋で煮込みました。



今回は会員の皆さんがたくさんの知り合いを連れてきてくれました。職場の仲間、団地のご近所さんなど、声かけして誘ってくれました。その結果かつてない参加者数となり、子供さんも多く参加して、農園はとても賑やかな一日となりました。


投稿日:2017年4月29日 9:16 pm



 もち麦の畑に黒穂病がまん延したため委託を含めて約6haのもち麦畑をつぶさなければならなくなったのですが、黒穂菌が侵入した黒い穂をすべて抜き取れば収穫まで行けるかもしれないとの思いで、先週の月曜日から未来農場の1.6haの麦畑で黒穂の抜き取り作業に突入しました。朝7時から夕方4時過ぎまで、黒い穂を探し腰をかがめて抜き取る作業を続けます。今日で11日目、この間偶然にもほとんど晴天に恵まれ、順調に作業ができたおかげでようやく終着点に近づきました。





 1辺が100m以上あるだだっ広い畑です。機械で種まきした筋に沿って1列100m強の麦を一つ一つ調べ、黒穂になってしまった穂を根元から抜き取ります。一直線にすると約4万メートルにもなります。全部抜き取るには何人日かかるのだろうか?最初に見積もってみた結果、約20人日と予測しました。私と畑を手伝ってくれているO氏と2人がかりで10日間、何とかなるだろうと判断し、黒穂抜き取り作業に突入しましたが、現実はそんなに甘くありません。初日の19日はかなり飛ばしたつもりでしたが終わって見ると4万メートル先のゴールがあまりに遠く、どうしようかと頭を抱えてしまいました。




 急きょ、これまで畑を手伝ってくれたことのある若者らに片っ端から電話をかけ、助力を頼みました。その結果、1日平均1人来てもらうことができました。若い人たちはかがんだ状態で根元から麦を抜き取る作業が腰の負担が大きいため、半日で音を上げてしまいます。黒い穂は黒穂菌の胞子の塊ですが、胞子はプリンタのトナーのようにまっ黒です。黒穂抜き取り作業はその黒い胞子を浴び吸い込むことになるので、鼻や口の中はマスクをしていてもまっ黒になります。特に若い人たちにつらい仕事です。それでも彼らに手伝ってもらったことで何とか11日間、作業を続けることができました。




 この間、飯を食って寝る以外の時間はすべて黒穂の抜き取り作業に費やしました。今日からGWですがそれどころではありません。体力の限りを尽くして、来る日も来る日も黒穂の抜き取りに明け暮れたのはなぜなんだろうか?と考えると、もち麦が全国的な人気商品になるはるか前から柏たなか農園のもち麦を愛用してくださった生協の会員さんや柏市の直売所のお客様への供給だけは続けなければならないという強い思いでした。



 黒穂抜き取り作業によりわずかに残ったもち麦がこの後、順調に育って梅雨の直前に刈り取り、収穫まで行けるかどうか、まだまだ心配なことばかりですが、この先はお天気をあてにするしかありません。もち麦がいまどんな状態になっているのか、畑に行かなくても状況を把握できるようにもち麦畑の隅に「定点観測装置」を設置しました。これから収穫までこの装置から送られてくる画像を見ながら次の手を考えます。


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