「都市」と「近くの農業・農村」を結ぶ柏たなか農園のブログ

投稿日:2017年4月29日 9:16 pm



 もち麦の畑に黒穂病がまん延したため委託を含めて約6haのもち麦畑をつぶさなければならなくなったのですが、黒穂菌が侵入した黒い穂をすべて抜き取れば収穫まで行けるかもしれないとの思いで、先週の月曜日から未来農場の1.6haの麦畑で黒穂の抜き取り作業に突入しました。朝7時から夕方4時過ぎまで、黒い穂を探し腰をかがめて抜き取る作業を続けます。今日で11日目、この間偶然にもほとんど晴天に恵まれ、順調に作業ができたおかげでようやく終着点に近づきました。





 1辺が100m以上あるだだっ広い畑です。機械で種まきした筋に沿って1列100m強の麦を一つ一つ調べ、黒穂になってしまった穂を根元から抜き取ります。一直線にすると約4万メートルにもなります。全部抜き取るには何人日かかるのだろうか?最初に見積もってみた結果、約20人日と予測しました。私と畑を手伝ってくれているO氏と2人がかりで10日間、何とかなるだろうと判断し、黒穂抜き取り作業に突入しましたが、現実はそんなに甘くありません。初日の19日はかなり飛ばしたつもりでしたが終わって見ると4万メートル先のゴールがあまりに遠く、どうしようかと頭を抱えてしまいました。




 急きょ、これまで畑を手伝ってくれたことのある若者らに片っ端から電話をかけ、助力を頼みました。その結果、1日平均1人来てもらうことができました。若い人たちはかがんだ状態で根元から麦を抜き取る作業が腰の負担が大きいため、半日で音を上げてしまいます。黒い穂は黒穂菌の胞子の塊ですが、胞子はプリンタのトナーのようにまっ黒です。黒穂抜き取り作業はその黒い胞子を浴び吸い込むことになるので、鼻や口の中はマスクをしていてもまっ黒になります。特に若い人たちにつらい仕事です。それでも彼らに手伝ってもらったことで何とか11日間、作業を続けることができました。




 この間、飯を食って寝る以外の時間はすべて黒穂の抜き取り作業に費やしました。今日からGWですがそれどころではありません。体力の限りを尽くして、来る日も来る日も黒穂の抜き取りに明け暮れたのはなぜなんだろうか?と考えると、もち麦が全国的な人気商品になるはるか前から柏たなか農園のもち麦を愛用してくださった生協の会員さんや柏市の直売所のお客様への供給だけは続けなければならないという強い思いでした。



 黒穂抜き取り作業によりわずかに残ったもち麦がこの後、順調に育って梅雨の直前に刈り取り、収穫まで行けるかどうか、まだまだ心配なことばかりですが、この先はお天気をあてにするしかありません。もち麦がいまどんな状態になっているのか、畑に行かなくても状況を把握できるようにもち麦畑の隅に「定点観測装置」を設置しました。これから収穫までこの装置から送られてくる画像を見ながら次の手を考えます。


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投稿日:2017年4月19日 9:35 pm



 もち麦畑に裸黒穂病という病気が発生、今年の収穫が厳しくなってきました。もち麦の穂は4月のはじめごろから次々と出てきます。穂の先にノゲが飛び出しその後にまだ熟していない麦粒が見えてきます。ところが、麦粒が見えるはずの場所にところどころ黒い穂が現れました。麦粒の代わりに病原菌である黒穂菌の胞子がびっしり詰まった塊です。収穫量が減少するだけでなく、胞子が飛び散り、収穫時にもち麦の麦粒に付着することによって次世代のもち麦に広がりさらに被害を拡大することになります。被害を抑える対策が必要です。

 対策としてもち麦の大半を収穫せずに畑に立ったままの状態でトラクターですき込んでしまいました。ごく一部、次々と出てくる穂の中から病気に侵された黒い穂だけを抜き取り土に埋めて処分しています。黒穂を抜き取る作業は人手でしかできないので作業量が限られます。作業量の限界を超える分はすき込んで処分するしかありませんでした。

 

 残った畑の中で何とか収穫に持って行けるよう、黒い穂を見つけては抜き取り、バケツなどに入れて畑の外に運び出します。抜き取ってはバケツに入れ、バケツがいっぱいになると外へ運び出す--これを延々と繰り返します。麦畑を踏み荒らすことになりますが構っていられません。広ーい畑の全体を見渡すとやる気を失うので周りの黒い穂だけに目を向けてひたすら抜き取って行きます。麦の穂は次々と出てくるので一度抜き取っただけではだめで何回も繰り返し抜き取り作業を行います。

 もっぱら人手に頼る困難な作業で得られる収穫といえば、黒穂病が発生しなければ得られたであろう収量よりはるかに少なく、抜き取り作業による疲労感ばかりが募ります。それでも収量がゼロになるよりはましだと考えて黙々と続けるしかありません。5月の連休まで作業が続きそうです。



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投稿日:2017年3月21日 8:55 pm

6年前の今日、3月21日は柏市を含む千葉県北西部、茨城県南部に大量の放射性物質を含む雨が降り注ぎました。東京電力の福島第1原子力発電所の核燃料がコントロールできなくなり膨大な放射性物質が外部に放出され、放射性物質を含む雨雲が東京方面に向かう途中でばらまいて行きました。



 この年、柏たなか農園では「もち麦」の生産に本格的に乗り出していました。もち麦は3月が一番の成長期にあたり、月初めに缶コーヒー1個分の背丈が月末には4個分にもなります。その成長期に大量の放射性物質を含む雨が降り注いだのですからたまりません。思い切り吸い込んでしまいました。収穫からしばらくして出た測定結果は規制基準値にかなり近い数値を示していました。この年のもち麦は結局、全量廃棄しなければならなくなりました。
 その後、柏市内では放射能汚染問題に正面から取り組むボランティアが立ち上がり、柏たなか農園の畑も全地点、放射線量を調べてくれました。柏市も汚染レベルの高い場所の土を除去して汚染されていない土に入れ換えるなどの作業をしてくれました。これらの対策の結果、翌年からは放射線量は高精度の線量計で計っても「検出せず」へと変わり、もち麦の生産も再開できました。もちろん、放射能検査では全く問題ありませんでした。
 残念だったのは放射能検査で「問題なし」となっても千葉県北西部、茨城県南部の農産物がしばらくの間、敬遠されがちだったということです。いわゆる“風評被害”です。柏市では農産物の生産者と消費者と専門家が「安全・安心の柏産柏消」円卓会議という市民の自主的な活動を立ち上げました。市内の畑の汚染状況を調べ尽くし、汚染された土壌を入れ替えるなどの対策を打つ中から「みんなが安心できる放射線レベル」を設定するところまでこぎつけました。市民の活動が大きな力となって風評は払拭されて行ったのです。



 あれから6年、柏たなか農園の3月はまさにもち麦の急成長期です。このブログで何度か取り上げましたが、全国的な健康食ブームが追い風になって需要も急増しています。この先、もち麦が順調に育って需要増に応えられるだけの収量が得られるようがんばります。


投稿日:2016年11月20日 10:40 pm

 2017年産もち麦の種播きがようやく終わりました。2016年産もち麦が需要急増で6月に出荷を始めてすぐに在庫不足に陥ったことから2017年産は柏たなか農園以外の農家に作ってもらう「委託生産」を大幅に増やしました。3年前から委託している未来農場のほかに利根川の対岸の茨城県つくばみらい市などでも新たに委託生産を始めました。。

 

 今回の委託先はまず、3年前から作ってもらっている未来農場。利根川の河川敷に100haもの広大な畑をもつ大農場です。この農場で2016年産もち麦は2ha作ってもらいましたが2017年産は4haに増やしてもらうことにしました。

 

 今年からつくばみらい市で作ってもらうことになったのは「農事組合法人筑波みらい」という若手農家中心の農業生産組織です。この組織はつくばみらい市内で耕作放棄状態になりそうな農地を借りて、農家の代わりに耕作しようというものです。この組織は作れる農産物なら何でも作るではなく、売り先が見えている作物だけを作るという営業先行の事業展開が強みです。そのためには空いている農地でも耕作条件の良い農地から優先して組み込んでゆくということになります。こうした考えに基づいてすでに34haもの農地を管理しています。そのうちの2haで今回、柏たなか農園の委託でもち麦を作ってくれることになったのです。柏市内でも、あるネギ農家にお願いして、作付計画が決まっていなかった約30aの畑でもち麦の委託生産を引き受けてもらうことになりました。

 

こうした委託生産の拡大は、この夏から農家や農事組合法人との交渉を進めてきたもので、ようやく種播きにこぎつけることができました。種播きしたもち麦がこのまま順調に育ってくれれば、来年5月末には今年の生産量の2倍以上のもち麦を収穫できるはずです

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投稿日:2016年10月2日 10:38 am



今年もイモ掘りやります。8月から続く長雨でイモのできが心配でしたが、試し掘りしてみたところ、まずまずの出来のようです。



 イモ掘りはサツマイモの葉で覆われたイモ畑からイモづる式に掘り出します。今年の栽培品種は甘味が強いベニハルカと安納いも。イモを傷つけないように外側からそっとスコップを入れ、土の中からごっそり掘り出すのが快感です。この楽しさはやってみないと分かりません。お父さん、お母さんもおもわず夢中にさせてしまいます。



収穫の後は柏たなか農園特製のもみ殻を使った美味しい焼き芋を味わっていただきます。もみ殻焼き芋というのは収穫が終わったお米のもみ殻を集めてきて、炭状の「クン炭」というものを作る過程で焦げた状態のもみ殻の中にサツマイモを1時間近く放り込んでおくと自然にやわらかい焼き芋ができるというものです。特に安納イモでつくるもみ殻焼き芋にはねっとりとした甘味があり、比類のない美味しさです。



最後に掘り出したイモをお持ち帰りいただきます。ぜひご家族で、お友達同士で体験してみてください。場所はTX柏たなか駅から車で5分の「柏たなか農園」。昨年、一昨年来てくれた方ももちろん大歓迎です。 (詳細はお知らせ欄参照)



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