「都市」と「近くの農業・農村」を結ぶ柏たなか農園のブログ
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投稿日:2019年3月28日 9:20 am
もち麦の収穫は例年5月末ですが、これまでは春先には在庫がなくなり半年近いブランクが生じ、「申し訳ありません」ばかり言ってきました。今年は今のところ在庫があり、何とか次のもち麦の収穫までつなぐことができそうです。
2018年産もち麦は栽培面積が増えたことで過去最高の収穫量になりました。一方出荷先も増えましたが、需給がちょうどバランス取れるくらいでした。大口の出荷先は東京の東都生協と柏市内に2カ所ある大型の直売所でしたが、昨年から新たに柏市内の有力スーパー、千葉県北西部から一部埼玉県にも出店している地方スーパーなどとも取引が始まりました。増産と取引先拡大によりもち麦の生産と出荷のバランスが取れる状況になり、とりあえず5月の収穫まで切れ目のない「通年出荷」ができる見通しとなりました。
これまで毎年春先には品切れになり、需要家のみなさまには5月の収穫、6月の出荷開始までお待ちいただくのが常でした。そのため、直売所などでは「お一人様○個まで」といった表示をしてくださっているお店もあります。また生協とは年間どれくらいといった数量をあらかじめ決めさせていただき、途中で在庫状況を見ながら出荷数量を微調整するといったやり方をしてきました。こうした生産と販売のすりあわせによって通年販売ができるようになり、ひとまずほっとしています。
2019年産のもち麦はいままさに草丈が大きく伸びているところで、これから穂が出てきます。昨年11月に種まきしてから平年より気温が高い日が多かったため、成長のペースがかなり早まっています。もち麦の生長もさることながら、雑草も同じく温暖化の影響で伸び始めが早く伸び方もじん常ではありません。畑の草取りが大変です。
この分だと収穫期も早くなりそうですが、そのタイミングを計るのが難しく、当分もち麦畑の生育状況から目が離せません。
投稿日:2018年10月31日 9:51 pm
収穫の秋です。土の学校の実習畑は収穫を待つ野菜たちであふれかえっています。キャベツ、ダイコン、ラッカセイ、ジャガイモ、レタス、ハクサイなどなど数えてみたら18種類にも上ります。
土の学校の実習畑は1区画の中に長さ約3mの畝を7本立て、南側から順番にa、b、c、・・gと番号を付けています。畝ごとに栽培する野菜は決められています。このため、隣の区画の隣り合わせの畝と畝をつないでいくとあたかも同じ野菜が横一列に植えられているように見えます。
a畝のジャガイモはまもなく花が咲き、葉が枯れ始めたら収穫です。隣の長ネギは根元に土寄せして白い部分を伸ばそうとしているところです。その次のb畝は夏の終わりにコマツナ、ホウレンソウ、シュンギクを播いてすでに1回収穫、後から播いた廿日ダイコンがそろそろ収穫です。その後コマツナ、ホウレンソウなど2回目の種まきをして芽が出てきたところです。b畝は畝全体を保温効果の高いビニールフィルムで覆い、真冬も葉もの野菜を収穫しようという作戦です。
c畝は春にラッカセイの苗とサトイモの種芋を植え付けました。途中、雑草を抜きまくり、植え付けから半年近く経てやっと収穫期を迎えようとしています。
d畝のニンジンは7月に最初の種まきをしたものの猛烈な日照りが続く中で発芽が思わしくなく、その後追加の種まきを繰り返しました。その結果、同じ畝の中でも発芽の早かったものと遅くなったものとでは育ち方に大きな差がついてしまいました。隣に植えた赤紫がかった葉の色のリーフレタスと葉の色が緑の結球レタスはまもなく収穫です。
e畝のキャベツと茎ブロッコリーは害虫から守るために畝全体を防虫ネットで覆っています。キャベツも葉が巻き始めており、特に頭がとんがった形のみさきキャベツはぎゅっと巻いて中がしまっている分、見かけより重さがあります。
f畝のカブはいまが軟らかでちょうど採りごろ。隣のダイコンもまもなく収穫できそうです。一番端にはスパイラルというとても変わった形のカリフラワーが植わっています。g畝のハクサイは植え付けから4週間経ちようやく葉が巻き始めています。ハクサイも害虫対策は必須なので畝全体を防虫ネットで覆っています。早ければ11月中に収穫できそうです。
一番南のa畝から北側のg畝まで7つの畝のすべてで秋冬野菜が鮮やかな彩りを見せてくれています。収穫は来年の年明けまで続くでしょう。真冬でも自分たちの畑の新鮮野菜を食卓に載せることができるなんて、とてもぜいたくなことだと思いませんか?
投稿日:2018年5月9日 12:16 pm
柏たなか農園の主力作物であるもち麦(品種はダイシモチ)の収穫が近づいてきました。穂から先の方に伸びるノゲまで紫色に色づき、畑は幻想的な景観を見せています。
一番先行しているのが隣りの千葉県野田市船形地区と木間ヶ瀬地区で栽培を委託している畑で、すでに畑の大半が明るい紫色に変わっています。これからもう少し紫色が濃くなり先端が首を曲げたようになると収穫適期です。あと1週間から10日で収穫できそうです。
柏市内では利根川河川敷で5haあまりの広い畑を使って委託栽培してもらっています。こちらは昨年11月に2度来た台風による川の増水で種播きが遅れたため生育も遅れました。このため現時点では畑はまだうす緑色で一番上がうっすらと紫色になってきたかという段階。それでもスタートの遅れからするとかなり追いついてきたようで、今月末には収穫できそうです。
一番心配なのが当柏たなか農園の畑で、一部は穂が色づく前に倒伏が始まってしまいました。このまま行くと倒れた麦を起こしながら収穫しなければならなくなり、作業はかなり難航しそうです。
ここにきて心配なのが梅雨入りが早まりそうなこと。雨が続くとその間に麦が倒れてしまい、最悪の場合収穫できない可能性もあります。出来ることなら6月初めまで天気がもってほしいと祈るような気持ちです。
昨年は黒穂病が蔓延したため委託先の分も含めて全体の3分の2をつぶさなければならないというつらい思いをしましたが、今年は種の購入段階で対策(種に農薬を粉衣)したので大きな被害にはなりませんでした。それでも4月中ごろから黒穂菌に侵された穂がポツポツと出てきたので何回も畑を廻って黒穂抜きをしました。
毎年のことですが、何も心配せずにこの時期を過ごすことができるようになるなど夢のまた夢でしかありません。
投稿日:2018年3月25日 11:17 pm
体験農園「土の学校」の種播きが始まりました。24日、25日に開催した第2回講習会でダイコン、ニンジン、カブ、コマツナなどの種を播きました。種を播くのは簡単です。畝の上に播く場所を作り、種が重ならないように播くだけです。ですが、その準備が大変です。
種播きの準備は3月10日、11日の第1回講習会から始まりました。最初の実習は畝立てですが、この時は直前に雨降りが続き畑がぬかるんだため実習ができず1週間遅れで17、18日に実施しました。
土の学校の実習畑は1区画約30㎡の中に7本の畝を立てます。畝というのは作物を栽培する畝で、畝と畝の間の通路部分が畝間です。畝立てというのは畝間の土を畝に移す作業ということができます。1区画約30㎡の中で畝間と畝の面積は同じくらいなので、畝間の土を移して畝を立てるというのは区画の半分の土を残り半分に移動するのと同じです。土の学校の農作業で一番体力を使うのがこの畝立て作業です。
畝立てをやっとクリアして24日、25日の第2回講習会ではいよいよ種播きです。種を播く畝に肥料を入れてから種を播く場所を作ります。直径10㎝位の穴に播く点播き、畝の上に浅い溝を作り溝の底に種播きするすじ播きなど野菜の種類に応じて播き方も使い分けます。
今回播いた野菜の種はニンジン、ダイコン、カブ、ミズナ、コマツナ、廿日ダイコンの6種類(ダイコンの種は2種類)。ニンジン以外はすべてアブラナ科です。ということはチョウ目(チョウやガの仲間)に卵を産みつけられ孵化した幼虫に葉を食いまくられるのが心配です。対策として親のガやチョウが入ってこれないように種播きした場所全体を不織布で覆います。アブラナ科はすぐ発芽するのでいつまでも不織布をかけておくわけにはいきません。1週間くらい経ったら外します。無防備というわけには行かないので不織布を外した段階で農薬を撒布します。順調にいけば4月末からのゴールデンウイーク前にコマツナ、廿日ダイコンくらいは収穫できそうです。
今年の土の学校は初めて参加した人の数が多く、本当にいろはのいから教えなければならず、結構大変です。畝立てにクワを使うといってもほとんどの人がクワを持ったことなどありません。種播きも種が重ならないように丁寧に播こうとすると大変です。お手本を見せて済ますわけにもいかず、手とり足とりの指導なります。しかも子育て世代が多く子供さんと一緒の作業では仕事のはかが行きません。
ですが、土の学校はそれで良いのです。会員の皆さんが土の学校に求めているのは、効率性とかスピードとか、そういう都市的な価値観とは異なる田舎ならではの豊かさを求めているはずだからです。ここでの農作業の目的は青空の下、広~い畑の中で気持ちのよい汗をかくことです。そして自分が作った野菜を自分で収穫する喜びです。田舎ならではの豊かさを求めて2018年度の土の学校が始まりました。
投稿日:2018年3月16日 10:56 am
3月に入り順調に伸びるもち麦、5月の収穫に向けて新たに乾燥施設を導入します。柏たなか農園始まって以来の巨額の投資です。昨年末から建屋の補修、電力線の引き込みなどの準備を進め、今週初めから機械の導入を始めました。
乾燥機本体は高さ6m近く、文字通り見上げるほどの大きさですが、近頃はお米を作ってきた農家が次々とやめて行くのでこれらの農家から出る中古の乾燥機を安く入手することは難しくありません。問題は高さ6m近い機械設備を収容する建屋です。更地をコンクリートで固めてその上に鉄骨の建屋を建てるとなるとそれだけで1000万円近くかかってしまいます。どうしようかと悩んでいたところ、農園の近くでやめた農家が乾燥機を入れるつもりで建てた小屋が放置されており、土地ごと借りられることになりました。昨年秋のことでした。小屋はゴミ捨て場になっており、内装も外回りも大分傷んでいましたが年明けからゴミの山を処分し、何とか使えるところまできました。
今月に入り、昨年から申請していた電気が一部使えるようになり、小屋の修復も仕上げることができました。今週初めにまず、乾燥した麦を一時保管するための巨大なじょうごのような形をしたストッカーという設備を小屋の一番奥に設置しました。
それから乾燥機本体の搬入です。入口のシャッターを開けても高さは3m足らずです。ここに6m近い高さの機械をどうやって搬入するのかと見ていましたところ、乾燥機の底から上部まで麦を吹き上げるエントツ部分を切り離し、乾燥機本体も上下に切り離してシャッターをくぐらせ小屋の中で組み立てました。続いてエントツ部分も斜めにしてシャッターをくぐらせ本体にねじ止めします。後は制御用の装置を取り付け、回転部にベルトをはめ込むなどして乾燥機の設置作業も何とかクリアしました。
この後、3月末までに乾燥済みの麦についているゴミを取り除くための籾摺り、石抜き装置、さらに麦粒の大きさをそろえる選別機を導入して今回の設備計画は完了します。
多額の資金を投じ、たくさんの労力を費やしてまで自前の乾燥設備を持つことにした理由は何でしょうか?それはもち麦の品質向上です。
柏たなか農園のもち麦生産は米農家の設備を使わせてもらうことで成り立ってきました。米農家の設備を使えば自前の設備投資をしなくてすみ、経営的にはとても助かります。ところが、委託での生産量が増え、取り扱うもち麦の総量が大きくなるにつれ米農家依存の問題点も露呈してきました。
米農家の乾燥機を使わせてもらうには乾燥機のお掃除をしなければなりません。しかし、米農家も1年中作業日程が立て込んでおり、もち麦の収穫時期に合わせて乾燥機を掃除するための作業時間を割くことは難しく、大概収穫遅れになり、もち麦の品質低下につながります。さらに丁寧にお掃除してももみ殻付きのお米がもち麦に混入するのを防ぎきることができません。これらの品質低下要因を取り除くために乾燥機の導入という決断をしなければならなかったのです。