「都市」と「近くの農業・農村」を結ぶ柏たなか農園のブログ
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投稿日:2014年4月21日 11:00 pm
千葉県北西部の柏、流山、野田、松戸あたりをまとめて東葛地方ということがあります。昔、東葛飾郡だったことから東葛飾、略して東葛というようです。この東葛地区で農業、農産物に関わっている人たちと自民党の齋藤健農林部会長の意見交換会を4月20日に開催しました。
齋藤議員は経済産業省出身で農政はまったくの門外漢にもかかわらず昨年10月に突如、自民党農林部会長(=自民党農政の取りまとめ役)に起用された議員で、異例の人事としてマスコミでも取り上げられました。門外漢ゆえに思い切った農業政策の転換ができるのではないかという期待感がある一方、自民党農林族の厚い壁もあり、どこまで踏み込んだ改革ができるか水面下で熾烈な戦いが繰り広げられているようです。
選挙区が東葛地区の流山、野田、松戸ということで今回、注目の人である齋藤農林部会長と地元の農業・農産物に関わる農家、市民との意見交換会が実現しました。会合に集まったのは柏、流山、野田で米や野菜を作っている農家、柏の青空市などで地元野菜を支援する活動をする人たちなどでした。野菜の販路開拓、ブランドの構築、後継者問題などさまざまな課題を抱えてこの会に参加してきました。
齋藤議員によると、日本の農業を再生するための方策は、①加工流通への取り組み(6次産業化)、②海外の農産物需要を取りに行く=輸出促進、③国内産を外国産に優先して食べてもらう--の3つ、プラス共通の課題として農地集約化などによる生産性向上だそうです。東葛地区にはこれらの条件がそろっており、農業再生のモデルになるとの期待感を語っていました。ちょっと驚いたのは齋藤議員がTPPなどの貿易自由化の動きに必ずしも与していないということでした。「世界的な食料不足に備えておくことが必要であり、農業は貿易自由化とは切り離して考えるべきだ。政府はそのことを堂々と言うべきだ」と主張していました。
今回の意見交換会に先立ち、齋藤議員が中央公論2014年3月号に寄稿した「我々はなぜ農業政策を転換したか」という記事を読みました。この記事の中で齋藤議員はコメ過剰対策の一つとして取り上げられている飼料米への転換にかかる費用=国民の負担について「農家のためではなく、子と孫たちのために払いたいと思う」としています。農業政策を農家のためではなく自分の問題ととらえているということが大変印象的でした。
投稿日:2014年4月8日 8:16 pm
もち麦の穂が出てきました。少し早すぎるかなと思いましたが、もち麦の本場・愛媛県のベテラン農家に聞いたところ大丈夫だそうです。このまま順調に行けば5月下旬には収穫できるはずです。
3月~4月の麦の成長はほんとに早いです。1ヵ月前には背の高さがやっと缶コーヒーくらいだったのが写真のように、すでに缶コーヒーの4倍はあります。もち麦たちは冬の期間に根を張れるだけ張って、気温の上昇とともに一気に地上部を伸長させる作戦だったのでしょう。毎日見ていても伸びがわかるほどの早さでした。
これから穂が大きくなると同時に、紫色に染まっていきます。全体が紫色に染まった麦畑――もち麦の収穫時期しか見ることができない感動的な景観です
せっかくの機会なので、もち麦ファンの皆様のためにもち麦の麦刈り体験イベントを開催します。5月31日(土)、6月1日(日)午前10時から、柏たなか農園の畑でやります。
このイベントでは紫色に染まったもち麦の畑に入り、麦刈り用のカマでもち麦を収穫していただきます。収穫したもち麦は乾燥・調整という後工程があるので、その場で食べられるわけではありませんが、予め新年度のもち麦を使ったもち麦ごはんを用意しておきますので、参加者の皆さんは全員、新麦を試食していただくことができます。1年に一度の機会ですので、もち麦ファンの皆さま、ぜひご参加ください。投稿日:2014年3月6日 9:12 am
3月8日、9日は2014年度土の学校の第1回講習会です。講習会直前ですがいつ、どのような作物を栽培し収穫するか、まだ検討中です。これまでの実績をもとに、新たに取り入れたい作物、品種などを考慮に入れて新年度の春夏から秋にかけての作付図を作るのですが、考える要素が多すぎてなかなかまとまりません。そういいながら実は、あーでもない、こーでもないといろいろ考えている時間が一番楽しいのです。
3月初めの第1回講習会ではジャガイモを植え付けます。これはまず確定ですが、同じく3月初めにやるべきことが他にないか、確認します。3月下旬の第2回講習会では一気にたくさんの種類の種を播きます。まだ寒さが残っているでしょうから苗の植付けは少ないのですが、それでも暑さを嫌う作物は、少し寒さ対策をしてでも早めに植え付け、夏の暑さの来ないうちに収穫してしまおうと考えます。このようにして第3回、第4回と作業計画を立てて行きます。
これまでの失敗もいろいろあります。農園での育苗がうまく行かず、受講者全員に配るには苗の数が足りなくなり急きょ、ホームセンターで不足分の数だけ苗を購入したり、農薬の散布を躊躇していたら大量の害虫が発生し、農薬散布のタイミングを過ぎてしまったため、害虫を1匹ずつピンセットでつまみ取らなければならなくなったことなど、数々の失敗をしてきました。失敗の経験を積み重ねてゆくうちに土の学校の作付計画も精度を上げてきてはいます。それでも新たな課題が次々と出てくるため、毎年当初計画が次々変更になります。地球温暖化で天気の荒れ方が以前より激しくなったり、気温の上げ下げの幅が大きくなり暑い日、寒い日の気温の差も拡大するといったことにも対応していかなければなりません。去年は10月が極端な日照不足で秋冬野菜が収穫までたどり着けないものもありました。
昨5日は夜明け前からほぼ1日中雨でした。畑は雨ですっかりぬかってしまいました。この状況ではトラクターの作業などできるはずがありません。危険を察知して前の日の4日に体験農園に歩行式のトラクターを入れて、実習畑の区画づくりをやりました。もう1日作業を遅らせていたら講習会に間に合わなかったかも知れません。
例年3月は雨の多い月です。その上、春の嵐もやってきました。多少の悪天候でも作業を進められるようにしておかないと、年間栽培計画は破たんしてしまいます。
投稿日:2014年1月21日 12:03 am
地元の野菜としては主力となるハクサイを始めダイコン、ニンジン、ネギ、ショウガなどが使えます。もっとも、夏に収穫するタマネギやニンニクなどを冬の季節までもたせるのが難しく、リンゴはもっと寒い地方のものを使うしかありません。なので「すべて」ではなく「なるべく」地元野菜を使おうということになるのです。
キムチを作るようになったきっかけは、茨城県の工業技術センターで「HS-1」というキムチの元になる乳酸菌を純粋培養することに成功したことです。HS-1を使えばだれでも簡単にキムチ漬けを作ることができます。従来のキムチはいわば多種多様なバクテリアが自然界で競争する中で、HS-1が繁殖しやすい環境を与えることによってHS-1が圧倒的に優勢な漬けもの=キムチ漬けを作ってきたと考えられます。そこには勘と経験が求められ、本場韓国では家のお母さんらの腕の見せ所だったのでしょう。
キムチの元はHS-1という乳酸菌だということが分かっているなら、はじめからキムチのベースになるハクサイに増殖させたHS-1を混ぜ込み、いわばハクサイのHS-1漬けを作っておき、その状態からキムチトウガラシやその他の野菜、海産物などを加えてキムチを作れば、自然界の競争にさらすよりはるかに失敗のないキムチづくりができると考えられます。実際にやってみると意外に簡単にキムチ漬けができました。というわけで、今年も1月25日と2月8日(いずれも土曜日)、柏たなか農園の近くの船戸会館で柏キムチ講習会を開催します。
お手軽に作れるとはいっても、最初にハクサイのHS-1漬けを作るのに1-2日はかかります。さらにキムチトウガラシ(日本のトウガラシは辛すぎて使えません)その他の具材を混ぜ込んでキムチ漬けにするには4-5日必要です。本当はもっと時間をかけて漬け込むのが良いかもしれません。つまり、1日数時間の講習会で素材の野菜を切り刻むところから始めて、キムチ漬けの出来上がりまで行くのは無理なわけです。
実際の講習会ではハクサイのHS-1漬けを作りますが、次の工程では漬け上がったハクサイのHS-1漬けを予め用意しておいてキムチ漬けを作ります。さらに漬け上がったキムチ漬けを予め用意しておいてキムチ鍋を作り、みんなでいただきます。最後に宿題として、HS-1とハクサイをお持ち帰りいただき、講習会で習った通りにできるかどうか試してもらうことにしています。(写真は2012年の講習会風景)
キムチがお手軽にできるといっても、やはり漬けものには奥深いところがあります。自然な甘みをつけるにはどうするか?長期保存するにはどうするか? 課題はいろいろあります。近い将来、柏キムチ・コンテストができるくらい普及してほしいと思っています。
投稿日:2013年11月26日 8:07 pm
種まきしたのは2014年産のもち麦です。もち麦の需要が拡大していることから今回は柏たなか農園の中で使える畑はすべてもち麦の種を播きました。合わせて約80アールです。ここから期待できる収量は約2400㎏です。それでも2014年に予想されるもち麦の需要に対してかなり不足しそうです。そこで、柏たなか農園のある柏市船戸地区で広い畑を擁する「未来農場」に協力を依頼、そのうち160アールをお借りしてもち麦を栽培させてもらうことにしました。未来農場を合わせると2014年のもち麦の収量は7200kg程度になると期待しています。
柏たなか農園の種まきは文字通り手播きです。はかりで測った種と肥料をバケツに入れ、バケツから手ですくって播いていきます。場所によって多少のばらつきはやむなしと考えます。トラクターは25馬力の乗用と7馬力の歩行式を組み合わせて除草、畝作りをします。その後種と肥料を混ぜて手播きします。80アールの畑の雑草を除去しながら、種を播ききるのに5日間はかかります。これに対して未来農場の種まきは125馬力の巨大なトラクターで種と肥料を同時に播いてゆくので、160アールの広い畑に種を播く作業時間は約2時間です。その前にプラウという装置で畑の土を撹拌し、雑草を土の下深くにすきこんでゆく作業をやりますが、それも同じくらいの作業時間ですみます。
作業の効率性ということでいえば柏たなか農園は未来農場に到底かないません。それなら柏たなか農園も未来農場のように巨大なトラクターを入れればよいではないかと思われるかもしれませんが、柏たなか農園の畑は小さいので巨大なトラクターを入れたのでは到底元が取れないのです。それぞれ得失があり、うまく使い分けて行くことで農業経営が成り立つのだと考えています。