「都市」と「近くの農業・農村」を結ぶ柏たなか農園のブログ

投稿日:2014年7月5日 11:29 am


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月末に刈り取ったもち麦の刈り跡に残した麦わらが大活躍です。スイカとカボチャ畑では畝と畝の間にワラを敷きつめました。体験農園ではナス、サトイモ、キュウリなどの根元に敷いてわらマルチにしました。麦農家でなければできない栽培法だと自慢しています。


スイカは苗を
5月中ごろに80本植え付けました。この時はまだ麦刈り前だったので麦わらなしでスタートしました。麦刈り直後に麦畑から麦わらをスイカ畑に移動して、スイカのつるが伸びている下にわらを敷きました。6月中ごろにはスイカの第2弾として麦刈り跡に4160本のスイカ苗を植え付けました。こちらは麦刈り跡に植え付けたので、すでに麦わらが刈り倒されており、わらを敷く作業は簡単です。

スイカと前後してカボチャ苗も植え付けました。カボチャ畑は同じウリ科のスイカと交雑させないように道路を挟んで反対側にしました。こちらも麦刈り跡で、刈り倒された麦わらをそのまま広げてわらマルチにしました。

 

こうしておくとスイカのつるが麦わらの上に伸び、雨が降っても葉が泥まみれにならずにすみます。やがてスイカの実が大きくなった時にはわらの上なので直接地面に接することなく、湿気や害虫の被害を軽減できると考えています。

体験農園では梅雨前線が居座るこの時期が全体の折り返し点にあたり、トマト、ナス、キュウリといった実もの野菜が収穫期を迎えます。この先、梅雨が明けると連日の暑さに加え、日照りが続くかもしれません。その時に野菜の根元に麦わらを敷いてわらマルチにしておくと水分の確保、病害虫被害の軽減につながります。もっとも、麦わらが害虫の隠れ家になることもあるので時々は麦わらの陰に害虫が潜んでいるか点検も必要です。

 

今年の麦刈りは531日に終了しました。6月に入ったとたんに大雨となり、そのまま長い梅雨が続いています。今思い返すと、5月末に収穫を終えておいて助かりました。ここ数年とは比べ物にならないくらい良く降ります。この先、日照が少なく気温が低いとスイカのできが心配です。なかなか明けない梅雨に気をもんでいます。

投稿日:2014年5月16日 10:33 pm


 昨日、一昨日とスイカ、その前の日はサツマイモ苗をやっと植付けました。畑全体に堆肥と元肥を入れトラクターで耕運した後、幅約70cmの畝を立て畝の上をビニールシートで覆い、シートに穴を開けて苗を植え付けます。この時に使うビニールシートを今年は生分解性にしてみました。
 生分解性のビニールシートはスイカやサツマイモを収穫した後、土の中に残したままでも自然に分解してくれるので、ビニールシートを掘り出す作業をなくすことができ、その上廃棄処分もしなくて済むのでかなりの作業量軽減になりそうです。ただしお値段はこれまで使っていたビニールシートに比べ5倍以上とかなり割高です。それでも柏たなか農園にとっては作業量軽減は魅力的です。

 サツマイモの苗植付けは今週の火曜に体験農園の会員のみなさんに手伝ってもらう予定でしたが、あいにくの雨で中止になってしまいました。翌日、雨の合間にサツマイモを300本近く植え付けました。サツマイモの苗は今週初めにタネ屋さんから購入したもので、あまり長くは置いておけないため植付けを急ぎました。

 木曜も雨が降ったりやんだりでしたが、スイカ苗の植付けを敢行しました。6畝予定していましたが4畝しか作業ができず、残る2畝は今日にずれ込みました。スイカは夏の暑さが続いている間は収穫できるのですが、7月末から8月初めにかけてのイベントに間に合わせたいので、早く植付けたいと焦っていました。順調に行けば7月末には収穫できるはずです。
 スイカは今月下旬に予定している麦刈りの後、もう一度苗を植え付けます。植付けが6月に入ってしまうので収穫は8月のお盆過ぎになりそうです。それでも暑さは続くでしょうから8月後半から9月にかけてもスイカは売れると読んでいます。

投稿日:2013年3月10日 10:54 pm


2013年度の柏たなか農園・土の学校は3月9、10日にスタートしました。例年にない暑さに見舞われ汗だくの中で第1回講習会の課題に取り組みました。毎年3月は強風や雨の日が多く、土の学校も悪天候にたたられ続けてきました。今年は大丈夫かと思っていましたが、やはり10日の昼過ぎから風が強まり、午後まで作業が残ったらかなり苦戦するところでした。

9、10日に開催した第1回講習会の課題はまず畝立てでした。一つの区画約30㎡の中に長さ約3m×70cmの畝を7本作ります。まず畝の位置を決め、畝と畝の間(畝間)の高低差が約10cmになるように畝間の土を畝に移します。これがかなりの重労働です。畝間から畝へ、区画の面積の約半分の土を移動させることになります。使う道具はクワですが、使い方に慣れていない人はなかなか進まず、去年までは午後の遅い時間までかかる人もいました。

毎年のことなので、今年は予め畝間に当たる部分にトラクターで溝を掘っておきました。こうすれば畝間の土を畝に移す作業の効率は格段に良くなり、講習会の初日にエネルギーを使い果たすこともなくなります。実際、去年までと比べて畝立ての作業時間は劇的に短縮され、まったく初めての人でも一人で1時間あれば何とかこなせたようです。特に10日は昼過ぎから強風に変わったので、作業時間が午後にかかると大変なことになりそうでしたが、11時ごろから始めて正午にはほぼ全員、畝立ての作業を終えることができました。

3月に予想される悪天候を避けるため、去年はスタートを3月下旬にしたのですが、スタートを遅らせた分、後の作業が後手に回りこれはこれで大変でした。春の1日は秋の3日ともいわれます。春は1日作業が遅れると秋の3日分の遅れに相当してしまうということです。ですので、やはり3月は天候が心配でも月の前半にはスタートさせないと後が苦しくなります。
10日の夕方からは冬に逆戻りです。3月下旬に開催する次の講習会の日はどのような天気になるのかまったく予想がつきませんが、種まきの後、ビニールトンネルをかけるなど、まだまだ防寒対策は必要でしょう。

投稿日:2013年2月3日 12:23 pm

小さいながらもビニールハウス、家の庭に建ててしまいました。ちょっと風が吹いたら飛んで行ったり、壊れてしまったりではまずいですから、ある程度頑丈でなければなりません。近くのホームセンターで組み立てキットのようなものを安く売っていたので飛びついてしまいました。

間口1間、奥行き1間半と小さなビニールハウスですが、それでも一人で組み立てるのは無理。先週、農園の仕事をいろいろ手伝ってくれている松本岳士さんに来てもらって、2人がかりで何とか組み上げました。

いざ組みたてるとなると大変です。まず、取扱説明書がものすごく分かりづらく、しかも不完全。その上写真は全て、カラーを白黒でコピーしたもので、まったく載せている意味がありません。想像力を働かせて、何とか取説を判読しました。作業者はやはり2人以上いないと組みたてられません。一人がハウスのパイプを押さえてやらないと別の部材をつなぎとめることができないといったことが起きるからです。朝から夕方までかけて何とか組み上げました。

骨組の外側を覆うビニールは、昨日まで2日間かけて一人で貼りました。ハウス本体は一応完成ですが、ハウスの中の温床や棚などはこれからです。

ところで、なんで家の庭にハウスを建てなければならないか疑問を持たれるでしょう。目的は野菜苗を育てるためです。いつもこのブログで紹介しているように、農場には土の学校の講習会に使うビニールハウスがあり、その隣にはもう一回り小さなのが建っています。ところが、農場には電気が来ていないので冬の朝はビニールハウスの中がマイナス5℃前後に下がってしまい、その中で野菜の種から芽を出させて苗を育てることはできません。

植え付け時期まで待って、ホームセンターなどで苗を買ってくれば済むかもしれませんが、売っている苗は品種が限られ、自分の判断で選ぶことができません。「苗半作」という言葉があるようにしっかりした苗を育てることが野菜作りの基本です。そんな大事な作業を人任せにはしたくないということもあります。

カテゴリー: 農業資材

投稿日:2013年1月15日 6:21 pm

新年の最初の仕事は「発酵肥料」です。はじめに油かす、落葉、ヌカなどの素材を合わせた混合物の中にこうじ菌をバラ播き発酵を始めます。発酵すると温度が上昇するので、その都度「切り返し」といって温度の高い部分と低い部分を入れ換えてさらに発酵を進めます。この過程でこうじ菌の他に納豆菌、酵母菌、乳酸菌と多種多様なバクテリアが繁殖し、これらの胞子を大量に含むものが出来上がります。

肥料というより多種多様なバクテリアの胞子を大量に含む混合物といった方が適切かもしれません。「肥料」という言葉を使うと「肥料取締法」の規制対象になってしまうからです。元はといえば、昔働いていた会社の先輩から教えられて作り方を書いた本を購入し、説明を見ながら毎冬作ってきたものです。

先週、素材となる油かすなど200kg近くをビニールハウスの中に積み上げその上にワラを載せ、ムシロで覆い、温度計を立てておきました。1週間近くたち温度計の表示は50℃超まで来ました。昨日の大雪で畑も一面真っ白ですが、発酵肥料のおかげでビニールハウスの中はぽかぽかです。暖かいビニールハウスの中で何回か切り返しをします。全体の重量が200kgとかなりあるので汗だくの重労働です。約1カ月後に出来上がるはずです。

こうして作った発酵肥料はどのような効果があるのでしょうか?多種多様なバクテリアがバランスよく含まれる土壌というのは、特定のバクテリアなどが大繁殖するのを抑制し、植物の根が元気に活動するための環境作りに貢献すると期待できると考えています。といいながら、この話は何となく歯切れが悪いのです。ここのところは科学的な根拠が示されているとはいえないからです。

これまでも農業に革命をもたらすであろう“魔法の薬”が次々と世に送り出されました。「これを振りかけると収量が激増する」、「これを土に混ぜると食物体が見違えるような成長をする」などなど、農家向けの専門誌などにも宣伝が載っていたりします。ただ、その多くが植物体のどの機能にどのように作用するからこのような結果になるといった科学的な根拠が示されないまま、効能だけをアピールしているように見えます。微生物の世界というのはいまなお科学的にとらえるのが難しく、多種多様な“魔法の薬”が出てきても本物かどうか判断できないのです。「見えるものだけを信じてはいけない」ということもあるでしょう。発酵肥料の話をする時の歯切れの悪さもここら辺から来ているのです。

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