「都市」と「近くの農業・農村」を結ぶ柏たなか農園のブログ
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投稿日:2015年10月29日 10:44 pm
11月中ごろのもち麦種播きに向けて最大の課題、堆肥の撒布が終わりました。とはいっても今年は若い人に作業をすべてお願いしてしまいました。作業日数はわずか5日間、さすがです。
堆肥を畑に入れる作業は専用機械があれば簡単なのですが、機械なしでやるのは大変です。まずスコップを使って堆肥を軽トラの荷台に積み上げます。軽トラ1ぱいで約300kg、スコップ1回で1kgとして300回スコップを上げ下げすることになります。10アール(1000㎡)あたり2トンの堆肥を入れたとして軽トラで約7はい、もち麦畑は合わせて80アールあるので堆肥を撒き終わるまでにスコップを1万6000回も上げ下げする計算になります。
手首も腕も腰も痛くなるし、撒いたはずの堆肥が風にとばされ戻ってきて自分の顔にあたることもあります。作業終了後にはなをかむと鼻の穴についた堆肥混じりの土埃でティシューに黒い粘液がべったりつきます。この作業が年間の農作業で一番体への負担が大きいと思います。昨年までは一人でやることもあったのですが、今年は無理しないことにしました。
堆肥撒布の前の準備も楽ではありません。まず夏の間、伸び放題だった雑草を除草剤と刈払い機で取り除きます。2~3週間で畑が枯れ草で覆われた状態になります。そこではじめてトラクターを使って耕うんできるようになります。
堆肥は利根川を挟んで対岸の守谷市にある畜産団地から運んできます。団地では約1000頭の乳牛を飼っており、牛たちの排泄物を使って牛フン堆肥を作っているのです。この堆肥をダンプで畑まで運んできます。
堆肥工場は畑から直線距離で約3km、“目と鼻の先“に見えますが、間にある利根川を渡るの橋が近くにないので、遠くの橋を渡って行き来すると片道20kmにもなります。
1日5往復して畑に運び込んだ堆肥は約15トンにもなります。これを畑の隅に積み上げておいたのですが、今回の撒布でこれらの堆肥をほぼ使い切りました。
大変な重労働であるため、一度作業を他の人にお願いしてしまうと来年以降、再び自分一人で堆肥撒布の作業をやろうという気は起きなくなるでしょう。堆肥撒布が片付きとにかくほっとしています。
投稿日:2015年10月22日 7:47 pm
農園の入口から市道沿いに6本ののぼり旗を立てました。のぼり旗は「ロゴ入りの柏たなか農園」「土の学校開講中」「柏たなかのもち麦」の3種類を各2本ずつ、計6本です。農園のことを手伝ってくれているサンクデザインの松本岳士氏に協力してもらい、これまでの手書きに代えてちゃんと印刷した旗にしました。なんでこんなことをしたのかというと農園を訪ねてくる人が迷子にならないためです。
今秋もイベントシーズン。柏たなか農園も10月25日のイモ掘りをはじめいろいろなイベントを計画しています。イベント開催のたびに初めて柏たなか農園に来る人のうち何人かが道に迷ってしまいます。開始時間の直前になって「道が分からなくなりました。自分がどこにいるのかも分かりません」というような電話がかかってくることもしばしば。他の参加者を待たせるわけにもいかず、結局見切らなければならなくなります。
このような事態にならないようにイベントの案内チラシでも地図付きで道順をていねいに説明しているつもりですが、うまく伝わらない時もあるようです。説明をうまくやることも大事ですが、目的地に特別目を引くものがあればずいぶん探しやすくなるはずです。
実際、のぼり旗を6本立てると市道を通り過ぎる人も一瞬農園の方を向いてくれているような気がします。農園は柏市の北のはずれ、柏市でもいちばん田舎といわれる地区にありとても静かなので、少し派手な飾りをしただけでも目立ってしまうのです。市道のわきには土の学校の実習畑があり、のどかな田舎の風景が広がっています。目を向けてもらうだけでも柏たなか農園の宣伝になると期待しています。
今週末の日曜日25日は今年第1回のイモ掘り体験イベントです。今年はイモの種類を刷新、甘~いと言われるベニハルカ、安納イモ、シルキースイートの3種類にしました。そのためか参加の申し込みが去年までとは比べ物にならないくらい増え、11月15日の第3回まですでに予約がいっぱい。このためやむを得ず募集を締め切らせていただきました。それだけに参加を予約してくれた方には農園にたどり着くことができず不参加になってしまわないでほしいという思いは切実です。
投稿日:2015年9月18日 9:43 pm
今年のサツマイモは気合が入っています。このところ雨降り続きですが、小やみになるタイミングを見てイモ畑の周りの雑草抜き取りやってきました。一昨日までに草取りはほぼ終了、昨年までのイモ畑とは見違えるほど管理の行きとどいた畑になりました(イモ農家なら当たり前なのですが…)。
サツマイモの品種も全面刷新、安納イモ、シルキースイート、ベニハルカの3種類を植えました。昨年までは作りやすさと収量重視でベニアズマを主力にしていましたが、出来上がったイモが大きすぎるなどから販売しづらいのが悩みでした。そこで小ぶりで甘味があるといわれる3品種に切り替えたのです。
毎年10月、11月に開催してきた柏たなか農園の「親子イモ掘り体験」、今年も10月25日(日)と11月1日(日)の2回開催しますとこのホームページで紹介したところ予想以上の申し込みをいただきました。甘い品種に切り替えたのが奏功したのかとも思っています。このまま行くとかなりの混雑が予想されるので開催日をもう1回増やして11月15日(日)にもイモ掘りをやることにしました。→「お知らせ」参照
販売方法としては焼き芋を主力にしたいと考えています。今年栽培している安納イモ、シルキースイート、ベニハルカの3品種は小ぶりで甘味あり――。ということは焼き芋にぴったりです。これからの秋のイベントシーズンをねらって柏と周辺の地域のイベントに出店、焼き芋を売りまくろうと皮算用をしています。
今日、ベニハルカを試し掘りしてみました。いい感じの色合いで大きさもいくらいになってきております。10月11月が待ち遠しくなってきました。
投稿日:2015年8月17日 9:25 pm
17日は雨降りの中、スイカ収穫体験を強行しました。ずぶぬれになるかもしれないと思いつつ、早朝の段階で申し込み者全員にイベントを実施するとの連絡を入れてしまいました。終日雨といっても小やみになることもあるだろうからそのタイミングで畑に出てもらえば良いと都合よく考えていました。
イベント開始時間の10時を過ぎても雨脚が弱まりそうもなく、ビニールハウスの中で今日のイベントに関係するレクチャーをしながら空模様を見ていました。柏たなか農園のスイカ栽培、今回収穫するスイカの品種、苗の植え付けから収穫までの作業などの話をした後、スイカの収穫のやり方を説明しました。予め作っておいたスイカジュースも味わってもらい時間をつぶしました。そのうちに雨脚が弱くなってきたのでやっと参加者全員、子供らもいっしょにスイカ畑に出てもらいました。雨でぬかるむ畑で雑草の陰に隠れているスイカを探し出す作業は結構大変です。ハサミをギュッと握ってスイカを探すお母さんらの姿は子供より真剣そうに見えました。
今回収穫したのは枕スイカという長丸の形をして、皮が厚い=ごみに出す部分が多いタイプです。畑に転がっているスイカは全部で100個以上。このうち大きめのものだけ収穫してもらいました。他に遅く植え付けたアジアンという品種のスイカも少し収穫してもらいました。こちらはラグビーボール型で外側の皮の色が濃い緑で中身が黄色です。
収穫したスイカを軽トラに積んでビニールハウスまで運び、ハウスの中で収穫したスイカの重さを1個ずつ測りました。やはり、今年の早植えスイカは小ぶりで大きなもので6㎏台です。次に糖度計で甘味を測りましたがかなり弱く10度まで届きません。アジアンの方がいくぶん糖度が高く出ましたがそれでも10に届きません。6月から7月にかけての天候がおかしかったのが響いたようです。
スイカを割ってみんなで試食しました。大人は我慢して食べてくれますが、子供らは正直です。甘味が乗っていないスイカに露骨にまずそうな顔、やむなしです。
お昼近くになって雨脚がまたひどくなってきました。最後に収穫したスイカをお持ち帰りいただき解散しました。スイカのできはイマイチでしたが、柏市の北部に残る自然環境豊かな畑で雑草をかき分けながらスイカを収穫するワイルドな体験は参加したお母さんや子供らにはとても新鮮に映ったに違いありません。
投稿日:2015年8月8日 11:52 pm
千葉県柏市など東葛地方の農家が集まって自民党農林部会長の斎藤健代議士と農業を語る会を開きました。斎藤氏は都市部選出議員でありながら自民党農林部会のトップに就いたことでマスコミをにぎわせたこともあり、昨年地元農家との意見交換会を開催しました。今回はその第2回目です。この間、農協改革の大筋が決まるなど自民党農政の転換が具体化しつつあります。その中で典型的な都市近郊型農業地域である東葛地方の農業をどのように活性化して行くのか?議論が盛り上がりました。
斎藤議員からは今年4月に「都市農業振興基本法」という法律を成立させたことと今後の展開について説明がありました。都市農業振興基本法という法律そのものが参加者にも知られていなかったようですが、これまで根拠が明確でなかった都市部の農地に対する課税の特例(宅地並み課税の回避、生産緑地制度など)を正当化する根拠になる法律であること、今年末の税制改正などにもさっそく影響が出てくることなどを説明していました。
農地の宅地並み課税など、農家がいままでお目こぼしで課税を免れてきたような印象を与えたのに対して、新法が成立したことで都市部に農地を残しておくことの積極的な意味をアピールし、課税を軽減する必要性を納得してもらう根拠となるといいます。
法律そのものには抽象的にしか書かれていませんが、農業一般ではなく「都市農業」独自の役割、存在価値が規定されたことの意味は思ったより大きいかもしれません。振興法では基本理念として「都市住民が身近に農業に親しむとともに農業に関して学習することのできる場…都市住民の農業に対する理解の醸成等の多様な機能を果たしている」を掲げています。まるで柏たなか農園で開催している体験農園「土の学校」の役割そのもののようにも受け止められます。具体的な振興策については市や町など地方自治体レベルの振興計画を作る中で明確になってくるので、やる気のない自治体では何も進まないということにもなりそうです。
農業の振興といっても、結局は農産物、その他のサービスを提供する力を引き上げてゆくことに行きついてしまいます。そのためには需要開拓、商品イメージの向上などが欠かせません。となると生産者=農家と販売・加工などの農産物を受け入れる側とでいかに良い関係を築いてゆくかが問われることになります。
実際、農業への企業の新規参入の状況を見てみると、参入する流通・加工側は国内農産物の需要が伸びると見ており、この点が農家の見方と大きなかい離があり、せっかくのビジネス拡大の機会を農家側でなく流通加工側にもって行かれる恐れもある――斎藤議員はこう指摘しました。地域の農家と流通、加工などの需要家側がひんぱんに集まって知恵を出し合い農産物の需要をいっしょになって開拓している例もあるそうです。
先進地域に学びつつ、東葛地域にしかできない都市近郊型の農業展開へと踏み出す時が来たようです。参加した農家の皆さんも手ごたえを感じていたようです。