「都市」と「近くの農業・農村」を結ぶ柏たなか農園のブログ
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原発事故以後とどう向き合うか考える
投稿日:2015年4月15日 9:01 am
3月下旬に出た「常磐線中心主義 ジョーバンセントリズム」という本、積んどくになっていたのを読みだしたら面白くて最後まで読んでしまいました。
常磐線沿線はいうまでもなく2011年3月の大地震と原発事故、特に原発事故の被害の大きかった地域です。私も茨城県取手市に住み、毎日利根川を渡って千葉県柏市の農場に通っている常磐線沿線住民ですが、未曾有の天災と人災がもたらした現実にどう向き合えばよいのか?いまなおやりきれなさと戸惑いを感じています。
「常磐線中心主義」には常磐線沿線地域の人々がこの現実にどのように向き合ってきたのか、いろいろ紹介されています。住民側からの働きかけで行政とうまく連携して市内全域で放射能除染を実施した柏市の例や、地域の有力産業であった水産加工業を復活させる取り組みの中で地元に誇りを持つことの重要性に気付いたといういわき市の例など、感心させられることがいっぱいあります。
では自分はどう向き合ったらいいのかと考えてしまいます。私自身の農業経営との関わりという点では放射能汚染とその後の風評被害で損失を受けました。これについて東京電力に損害賠償請求もしましたが、申請を受け付けるかどうかの入口ですったもんだした挙句、初年度の賠償金はわずか1700円余りにしかならず、ばかばかしくなってその後の損害賠償請求を止めてしまいました。
取手や柏よりはるかに大きな被害をこうむった原発近接地域ではどうしているのだろうか?現地の報道をテレビで見たりすると、本当はどうやっているのかこの目で確かめてみたい気持ちになります。一方で興味本位で出かけて行ったのでは被災地の方々に失礼だと思い躊躇していました。しかし、「常磐線中心主義」を読んでみて、やはり行くべきだと考えるようになりました。大きな被害をこうむった地域では厳しい現実にどう対応しているのか、たとえ表面的であっても現地の現実に触れることができれば自分がこれからどう対応すべきかのヒントが得られるような気がしてきたからです。
責任編集の立場でこの本を書かれている五十嵐泰正・筑波大准教授は柏駅前の青空市「ての市」(柏たなか農園もときどき出店させてもらっている)などを主催する柏ストリートブレイカーズの代表です。農園の放射線量を計測してくれたり、筑波大の学生さんらを畑に連れてきてくれたりと、軽快なフットワークに感心させられております。今回の「常磐線中心主義」ではほんとに元気もらいました。ついでに本の中で紹介されている音楽CD「常磐DOPE」も買ってしまいました。