「都市」と「近くの農業・農村」を結ぶ柏たなか農園のブログ

投稿日:2019年10月15日 11:37 am



 柏たなか農園の北側にある利根川が増水して堤防の際まで作られていた田畑がすべて水没、反対の茨城県側まで広がる巨大な「利根川湖」になってしまいました。このあたりの利根川は川幅が約2kmあります。堤防に上ってみると川幅いっぱいに増水した水が十数kmも続いているのが見えます。12日の台風19号が、日本最大とされる利根川の流域全体に降らせた大量の雨を利根川下流に送り出しました。下流の利根川の水位は急激に上昇し洪水の危険性が高くなりました。そこで遊水池に水を放流して利根川の水位の上昇を抑えたのです。

 利根川のように大きな川は氾濫を防ぐための「堤防」の他にもう一つ、「越流堤」といって川の水を流す部分と普段は田畑などに使える土地を仕切る堤防を築き、堤防との間を遊水池にしています。そのため、台風の季節になると利根川の水位を抑えるために越流堤の外側に放流して遊水池を田畑もろとも水没させてしまいます。




 遊水池は利根川両岸の茨城県側と千葉県側にあり、利根川の水位の上昇が心配されるとき、まず最初に茨城県側に放流します。それでも間に合わない時に千葉県側にも放流します。今回は茨城県側と千葉県側でほぼ同時に放流されたようです。今回の台風による水位の上昇が早く、それだけ危険性が高かったためでしょう。

 台風が通り過ぎるのを待って13日早朝に茨城県側から千葉県側に利根川の橋を渡ったときは利根川が増水していても遊水池部分には特に変化は見られませんでした。それが午後になると遊水池はみるみる間に水没して行きました。遊水池の真ん中を通る農免道路も田や畑も野菜を栽培するビニールハウスも。水面から上に出ているのは送電線の鉄塔と電信柱だけです。

堤防のわきに立ってみると堤防の高さに迫っているのが分ります。利根川の水は最後は東端の千葉県銚子から太平洋に流れ出ます。時間が経てば利根川の水位も下がりますが、上流からの雨水の流れが収まらないので水位が元に戻るには時間がかかります。その間、水没した田畑の作物は全滅してしまいます。今年の稲刈りは終盤に近かったのですが、11月まで稲刈りを予定していた大規模農家は大きな被害を被ったことでしょう。




 柏たなか農園の畑は堤防より一段高い場所にあるので直接的な被害はありませんでした。それでも畑のわきを通って利根川に向かう水路には利根川の水が逆流して水路の周りまで水没させ、沼のようになってしまいました。地球温暖化のせいで年ごとに台風が大型化しているといわれます。この先、どんな気象になっていくのか心配です。

カテゴリー: 柏たなか 気象異変

投稿日:2019年9月9日 10:46 pm



台風15号、農園始まって以来のものすごい台風でした。以前の台風の被害を全部足し合わせたような被害が引き起こされました。農園の中心部に立っているビニールハウスのわきに作った「夏のすずみ処」はペシャンコにされました。近くの竹林から林の保全をかねて伐りだしてきた竹を組んで作った60㎡ほどの施設ですが、周りに植えたゴーヤ、キュウリ、シカクマメが緑のカーテンになって日陰を作りちょうど良い夏のすずみ処になっていました。枝葉を延ばした分、重さがかかり台風には抵抗できなかったようです。土の学校の講習メニューの一つとして栽培しているシカクマメの方はつるを絡ませるために立てたキュウリ用のアングルが強風でグシャっと曲がってしまいました。



資材の保管庫もやられました。車の通路と並行においてあったはずのユニットハウスが約30度ずれて変な方向を向いています。以前も同じような経験があり、その後少しの風では動かないように周りに鉄の杭を打ったりしていたのですが、到底強風にはかなわなかったようです。利根川側の資材保管用の物置はすぐ下の車の通路に倒れ込み通路を塞ぎました。倒れ方が悪くて天井と床が逆になり床が上を向いた形で、当然中の資材類もひっくり返って中はめちゃめちゃになっているはずです。通路をふさがれては車が通れないので通路の真ん中より端の方へずらしましたが、人の力では全体を動かすのは難しそうなので、抜本対策は少し先にしました。



畑の作物にも大きな影響が出ました。トマトやキュウリ、ゴーヤのために組み立てた支柱はほとんど倒されました。ナス、ピーマン、万願寺トウガラシ、モロヘイヤも軒並み倒されたり斜めに傾いたりしています。ちょうど夏の野菜から秋冬野菜への切り替え時なので、倒されたものは早く撤収して次の秋冬野菜に集中したいです。



秋冬野菜のとっかかりとして今月初めに植え付けたキャベツ、茎ブロッコリーは虫の浸食を防ぐため防虫ネットをかけておいたのですが、ほとんどはがされました。この後植え付ける作物の苗は隣のビニールハウスで育てていたのですが、これもハウスの窓から吹き込む風で傾いたり葉がちぎれたりしていました。




幸い、畑の真ん中に立つ2棟のビニールハウスは無事でした。大きなビニールハウスは「土の学校」の講習会場として使っているので、ちょっとやそっとでは倒れないようにかなりな強度の構造にしています。小さな方のビニールハウスも苗作りなどで使っているのでかなり頑丈な作りにしています。

台風はこのところ毎年のように日本のどこかで大被害をもたらしており、今回はとうとう関東地方に上陸してしまいました。この先も台風が強くなる傾向なら畑の防御態勢も見直さなければならなくなりそうです。

投稿日:2019年8月5日 7:08 pm

 毎夏開催してきたスイカ収獲イベントを今年も818日と24日、25日の3回開催することにしました。7月のブログで紹介したようにスイカが一部出遅れており、イベントの日程に間に合うかどうか心配です。




 今年のスイカ畑は道路を挟んで利根川側と県道側の2カ所に分けました。利根川側の畑には重さが
8kg12kgにもなるゴジラスイカを植えました。県道側は3kg5kg程度のラグビーボール型のスイカです。こちらは果肉が黄色い「アジアン」という品種を北側に、果肉が赤い「コンガ」という品種を南側に植え付けました。異なる品種のスイカを近くに植えると交雑してしまうことがあるのでできるだけ離れた場所に植え付けるようにしているのです。



 生育が遅れて心配というのは利根川側の畑に植え付けたゴジラスイカです。梅雨が長びく間に病気が広がり、初期の生育はきわめて不順でした。それでも病気の症状がひどくなかったものはつるが伸び、畑はスイカの葉で覆われるほどになり、黄色い花も咲きだしました。ところが咲く花は雄花ばかりで雌花がなかなか咲きません。雌花が咲かなければスイカができません。



7月末に梅雨が明けると同時に強い日差しと高温でスイカの樹勢は一気に回復したように見えました。雌花もちらほら顔をのぞかせています。あわてて雄花の花粉を雌花の柱頭に振りかける授粉作業をやっています。スイカが収穫できるのはだいたい授粉から35日程度といわれています。ということは今頃授粉しても818日から始まる収穫体験イベントには間に合わないということです。



 一方、県道側の畑に植え付けたラグビーボール型のスイカは梅雨空の下でも少しずつ授粉作業を進めることができました。梅雨明け宣言が出た729日ごろには一部、動物に食い荒らされ、カラスに突かれるなどの事件も起きたので急きょ、少し育ち始めたスイカすべてに袋掛けをして彼らが触れることができないようにしました。


授粉作業をしたスイカの雌花のわきには目印になるように長さ90cmの支柱を立てるようにしているのですが、今は雌花からできた実が育ったところで袋掛けをして支柱を抜くという作業を毎朝やっています。動物による食害を防いだので、このまま猛暑日が続けばスイカ収穫イベントに間に合いそうです。

 スイカ収穫体験の本番まであと2週間足らずになりました。畑のある柏たなか駅を中心に周辺の住宅街に宣伝用のチラシを撒いたり、柏市の広報紙にお知らせを掲載したりして集客をしてきました。その結果予想を上回る申し込みが殺到したため、受付は締め切ってしまいました。それでもものすごい数の参加者が柏たなか農園のスイカ畑に来られます。あと1週間梅雨明けが早かったならずい分安心だったと思います。いまはひたすら強烈な日差しと高温がこのまま続けば良いと願っています。

投稿日:2019年7月1日 7:54 am



この夏は野菜の収穫体験イベントを次々と開催します。ミニトマト、ナス、ピーマン、万願寺トウガラシといったナス科の作物。キュウリ、スイカ、カボチャなどのウリ科作物。さらにマメ科のエダマメ、ラッカセイ、シカクマメ。そのほかトウモロコシ、オクラなどいろいろ植え付け収穫体験に備えてきました。

イベントは夏休み期間に集中的に開催します。自然豊かな千葉県柏市ならでは農産物収穫体験イベント、是非ご参加ください。(おしらせ欄参照)




 柏たなか農園では主力のもち麦(もち種の大麦=品種はダイシモチ)を5月末に刈り取り、乾燥などの作業を経て一段落。麦刈り跡に春先から用意してきた夏野菜の苗の植え付けを進めます。いわばもち麦の裏作のようなもので、広~い畑にゆったりと畝間をとって植え付けてきました。




 これらの作物の一部、収穫がまもなく始まり、7月後半から8月にかけて大収穫期を迎えます。ピーマンはすでに始まりました。続いてナス、エダマメなども採れ時を迎えます。




キュウリは黄色い花を、オクラは花びら白で付け根が赤いかわいい花を咲かせています。ミニトマトもこれから実が赤く色づき収穫期に突入です。




 8月中頃からはスイカです。今年のスイカは最大で1114kgにもなる「ゴジラスイカ」と中くらいの「ラグビーボ-ル型」の2種類。ゴジラスイカというのは巨大な長丸スイカで外はしましま模様。中身は赤く自然の甘みがあり、全体が大きい分だけ果肉もたっぷり、一家で一度に食べきれないほどです。




ラグビーボール型は外皮が暗緑色で中身が「赤」と「黄色」の2タイプを植えました。食べやすい大きさで甘みもかなりです。いずれも黄色い花が咲き始めておりまもなく受粉し実を付けます。1ヶ月あまりで収穫始まります。ほぼ同時期にカボチャもできてきます。マメ科のシカクマメも収穫期です。 

 ラッカセイはさらに遅く9月後半からの収穫となり、その後サツマイモです。もう夏野菜ではなく秋野菜になります。

投稿日:2019年5月21日 5:26 pm

 


 もち麦畑は一面紫色に染まり幻想的な景観を作り出しています。今の季節を表すのに麦秋という言葉があります。麦の収穫の時期だからです。2019年産もち麦、間もなく収穫が始まります。ところで「もち麦」ってどういう麦(大麦)でしょうか?「もち麦」と「そうでない麦」はどのように区別されるのでしょうか? 今回はWhat is MOCHIMUGI? の話です。




 麦関係の業界団体の一つに「全国精麦工業協同組合連合会」(全麦連)というのがあります。ここが今年4月に「もち性大麦(はだか麦を含む)とはもち性遺伝子型を有する大麦と定義する」という「もち性大麦業界基準」を公表しました。

 お米にうるち米ともち米があるように穀類にはお米でも麦でもトウモロコシでも、それぞれ「もち」と「うるち」という2つのタイプがあります。食用部分を構成するでんぷんの構造の違いによるもので、その違いは遺伝子によって決定されています。もち性遺伝子型を有する品種が作り出すでんぷんは100%もち性で、もちもちした食感になります。うるち性遺伝子型を持つ品種ではもちもち感は得られません。

 ではどの品種がもち性遺伝子型を有する大麦の品種でしょうか? 全麦連が示したもち性遺伝子型を有する大麦のリストには国産もち麦として10の品種が、外国産としてアメリカ産、カナダ産を合わせて10の品種が掲載されています。柏たなか農園で生産している「ダイシモチ」も国産もち麦の品種の1つとしてリストアップされています。




 ではなぜ全麦連がもち性大麦を他の大麦と区別してリストを公表したのでしょうか?それはもち性大麦ではないけれどもち麦に似た食感が得られるといった判断からもち麦に準ずるものとして販売されている大麦があるからです。このままいくと何が「もち麦」なのかをめぐって混乱を招くおそれもあります。もち性遺伝子型を有するか否かという客観的な判断基準を示すことで混乱を未然に防ぐ狙いがあると思われます。

 スーパーなどで販売されているもち麦は何という品種なのか、印刷された文字が小さくて見づらいかもしれませんが大概表示されています。全麦連が公表したもち麦リストに載った品種です。ただ、外国産のもち麦は品種名まで明示している商品はあまり見かけません。

カテゴリー: 生育情報 柏たなか もち麦
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